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秀山祭九月大歌舞伎「毛谷村」「道行旅路の嫁入」「極付幡随長兵衛」

2017/09/24
平成29年9月23日、1年半ぶりに歌舞伎座へ。

しばらく歌舞伎から離れている間に、芝雀さんは雀右衛門を、橋之助さんは芝翫を、勘九郎のご子息は勘太郎、長三郎を、彦三郎さん亀三郎さん亀寿さんは楽善、彦三郎、亀蔵を襲名し、じゅふたんは初お目見えをして、どんどん歌舞伎界が別物になったようで気分はすっかり浦島太郎。

とても新鮮な気持ちで行ってきました秀山祭。

ちょいメモ備忘録20170923-01

一、彦山権現誓助剱  毛谷村
毛谷村六助:染五郎/お園:菊之助/杣斧右衛門:吉之丞/お幸:吉弥/微塵弾正実は京極内匠:又五郎

六助(染五郎)、見る前から染五郎の六助か想像できた。実際想定通り。垢抜けないけれど愛嬌があって面倒見がよくて。力持ち感はなかったがはまり役。はまり役すぎて、もう一歩進化した六助を期待したいところ。

お園(菊之助)は武家の娘の風情がよくでている。でもいいなずけに会えて喜ぶ場面は時蔵さんが演るおきゃんな感じが好き。菊之助のお園は豊満な色気溢れるバーのマダムみたい。そのためか、六助とお園が実は許嫁と分かり互いの態度が豹変するというコミカルな展開が少々重く感じられた。

お幸(吉弥)、さすが。凛とした姿勢の武家の女。それなのに六助といきなり斬り合う場面もおかしみが感じられた。微塵弾正、実は京極内匠(又五郎)、悪人の存在感を見せつつ悪知恵を働かせる軽さも持ち合わせる。

ちょいメモ備忘録20170923-02

二、仮名手本忠臣蔵 道行旅路の嫁入
戸無瀬:藤十郎/小浪:壱太郎/奴可内:隼人

幕が開き胸がすくような富士山がどーん!歌舞伎のこういう空間の使い方がイイ。

戸無瀬の藤十郎さん、85歳!お身体が若い人のように動かなくても、母性全開、溢れる愛情、そんじゃそこらの若輩者には太刀打ちできず。
ちょいメモ備忘録20170923-03

小浪(壱太郎)、可憐さに磨きが掛かった。周りが霞んで見えるほど、眩ゆいほどに煌めいている。白みがかった振袖が本当によく似合う。壱太郎のこの年令だからこそ醸し出せる瑞々しさ、愛らしさ。今がピークとすら思う。

奴可内(隼人)、よかった!以前なら父錦之助が演る役なのだろうが、隼人も十二分に魅せた。素人評価だけど踊りが上手くなったなあ。なんかうれしいぞ。

三、極付 幡随長兵衛 「公平法問諍」
幡随院長兵衛:吉右衛門/水野十郎左衛門:染五郎/近藤登之助:錦之助/子分極楽十三:松江/同 雷重五郎:亀鶴/同 神田弥吉:歌昇/同 小仏小平:種之助/御台柏の前:米吉/伊予守頼義:児太郎/坂田金左衛門:吉之丞/慢容上人:橘三郎/渡辺綱九郎:錦吾/坂田公平・出尻清兵衛:又五郎/唐犬権兵衛:歌六/長兵衛女房お時:魁春

本日のお目当て。吉右衛門の幡随長兵衛を是非とも舞台で見たかった。

長兵衛(吉右衛門)、人情味あふれ子煩悩。それでいて清濁併せ呑む親分肌。劇中劇「公平訪問諍」で客の諍いを治めるときの流れるような台詞回しから醸し出される親分としての男ぶり。水野から迎えが来た事を知った瞬間からその大きな体から溢れ出るのは、頭として人の上に立つ者が負う身を引き裂かんばかりの孤独。風呂を勧められたとき、目を大きく見開き自分の運命を受け入れ諦めの境地に達する哀しさ。

格好良すぎて惚れずにいられません。
ちょいメモ備忘録20170923-05

劇中劇「公平法問諍」はやっぱり楽しい。このまま続きを見たいと思ったくらい。

坂田公平(又五郎)、気は優しくて力持ちのスーパーヒーロー。劇中劇の人物だけに荒事も軽めに抑えている。
ちょいメモ備忘録20170923-04

伊予守頼義(児太郎)、みずみずしい色気を放ち華やか。慢容上人(橘三郎)、コミカルな生臭坊主。坊主がぴょんぴょん飛ぶ構図が笑えた。

他方、長兵衛と対立する水野十郎左衛門(染五郎)、染五郎のニンでは全くないと思うが、水野の非情さ冷酷さを表情、台詞から浮かび上がらせていた。近藤登之助(錦之助)、同じくニンではないと思うが、年季が入っている分、型と性根が一致。坂田金左衛門(吉之丞)、水野の権力をかさに着る小物感。

長兵衛女房お時(魁春)、一時休演で心配したが復活してくれてうれしい。長兵衛には自分の感情を押し殺そうとしても夫への思いがひたひたと滲み出る抑え気味の妻が似合う。
ちょいメモ備忘録20170923-07

「幡随長兵衛」、吉右衛門贔屓としては大満足。見に行けて本当に良かった。他の役者の長兵衛を見たことはある。が、今日吉右衛門版長兵衛を見てこういう長兵衛を見たかったのだと実感。この長兵衛を超える長兵衛は私の中では当分出てこないだろう。

ちょいメモ備忘録20170923-06


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01:09 鑑賞記録 | コメント(0) | トラックバック(0)

「菊日和―母の日記が語る父との恋とあの頃の東京の暮らし」波乃 久里子

2017/06/07
先代(十七世)中村勘三郎の芸を見つめ、昭和を走り続けたその妻久枝の生涯を、初公開の日記とともに娘である女優波乃久里子が綴る、名優の家の物語(「BOOK」データベースより)

菊日和―母の日記が語る父との恋とあの頃の東京の暮らし

17世勘三郎の奥方の夫への想いがつづられた日記は少女漫画の世界。夫への愛情は十二分ながら芸に関しては父六世菊五郎が絶対。

23:52 歌舞伎本 | コメント(0) | トラックバック(0)

「僕らの歌舞伎: 先取り! 新・花形世代15人に聞く」

2016/12/25
伝統芸能の魅力を次世代につなげる新書シリーズ企画。主に現在30歳前後までの若手歌舞伎役者総勢15名に、芸と役、家、将来についてなどを聞いたインタビュー集です(松也・梅枝・歌昇・萬太郎・巳之助・壱太郎・新悟・右近・廣太郎・種之助・米吉・廣松・隼人・児太郎・橋之助〈年齢順、敬称略〉)。聞き役は元NHKアナウンサーで、伝統芸能をわかりやすく伝える活動を続ける葛西聖司さん。歌舞伎界の将来を担う役者たちの、現在の立ち位置を記録した資料としても有用な書です。カラー口絵では各役者の舞台写真も掲載(Amazon)。

僕らの歌舞伎: 先取り! 新・花形世代15人に聞く (淡交新書)

本書でとりあげられている若手たちの芝居をみても数名を除いては二十年後、三十年後に彼らの親世代の力量の役者に成長している姿は想像できないのだけれど、彼らの歌舞伎に対する真摯な姿勢を知るととそれも夢ではないのかもしれないと思えてくる。ちなみに私の現時点のお気に入りは松也、巳之助、歌昇、種之助、梅枝、児太郎。葛西聖司さんの十五人全員についての評がよかった。

21:19 歌舞伎本 | コメント(0) | トラックバック(0)

早稲田大学演劇博物館 「中村吉右衛門展」

2016/06/24
早稲田大学演劇博物館へ。お目当ては「中村吉右衛門展」。吉右衛門丈が早稲田大学芸術功労者の顕彰を受けたことを記念しての展示。この建物に足を踏み入れたのは20年以上ぶり。

ちょいメモ備忘録20160624-01

入口には鎌田現総長と吉右衛門の写真!まさかこの二人が並ぶ写真を見ることになるとは。また、早稲田大学の卒業式(2015年3月)で行われた顕彰授与の模様がVTRで流れていた。スピーチは文学部フランス文学専修出身らしくスタンダールの「生きた、書いた、愛した」と言う言葉をテーマにした卒業生へのはなむけ。

展示写真は一昨年、銀座のGUCCIで開催された写真展「SONORAMENTE」の超縮小版。
「義経千本桜」で崖から飛び降りる知盛、「熊谷陣屋」幕切れで鳥屋から撮影した揚幕の先を見つめる熊谷直実にまた出会えたのはうれしい。そのほか、俊寛、河内山等。

注目は当代吉右衛門の襲名披露のポスター。隈取のみ、写真無し。これは貴重。襲名披露演目は「金閣寺」の此下東吉、「積恋雪関扉」の宗貞。

そして歌舞伎衣装。「競伊勢物語」紀有常、「閻魔と政頼」の政頼。吉右衛門の政頼、一度みてみたい。さらに初代吉右衛門の書抜、当代吉右衛門の画。

ちょいメモ備忘録20160624-02

久しぶりに歌舞伎に触れてリフレッシュ。意外にも大学内に緑が多いことを発見。短時間だけど楽しかった。

16:22 歌舞伎もろもろ | コメント(0) | トラックバック(0)

二月大歌舞伎「籠釣瓶花街酔醒」

2016/02/09
「籠釣瓶花街酔醒」!
歌舞伎を好きになってから、一番見てみたかったお芝居。それも播磨屋さんので。夢がかなった。

ちょいメモ備忘録20160209-12

三世河竹新七 作 籠釣瓶花街酔醒
序幕 吉原仲之町見染の場、二幕目 立花屋見世先の場、大音寺前浪宅の場、三幕目兵庫屋二階遣手部屋の場、同廻し部屋の場、同八ツ橋部屋縁切りの場、大詰 吉原仲之町見染の場

佐野次郎左衛門:吉右衛門/兵庫屋八ツ橋:菊之助/下男治六:又五郎/兵庫屋九重:梅枝/同七越:新悟/同初菊:米吉/遣手お辰:歌女之丞/絹商人丹兵衛:橘三郎/釣鐘権八:彌十郎/立花屋長兵衛:歌六/立花屋女房おきつ:魁春/繁山栄之丞:菊五郎

​序幕「吉原仲之町見染の場」。佐野次郎左衛門が八ツ橋を見染める場。この場、すごくよかった。

開演当初、舞台は真っ暗。パッと明るくなったと思ったら、そこは吉原の町。花魁道中の煌びやかなこと!この世のものと思えない華やかさ。次郎左衛門(吉右衛門)と下男冶六(又五郎)が思わず立ち尽くし浮かれるのももっとも。

そして八ツ橋(菊之助)が見せる笑み。女神のように高貴なのに、男を惑わす魔性も垣間見え、すべてを見通しているようでもあり、無心の幼女のようでもある吸い込まれそうな微笑み。微笑んでいる間は結構長い。八ツ橋は一瞬微笑んだにすぎないのだろうけど、次郎左衛門にはそれだけ長く感じられたということか。雷に打たれたような表情。茫然自失状態となり八ツ橋に心を持っていかれる。この先八ツ橋に翻弄されることが目に見えるようで心配になったところで幕。

ちょいメモ備忘録20160209-14

​二幕目、次郎左衛門が吉原に通いつめる場面。
次郎左衛門、八ツ橋にメロメロになりなっている表情や、商人仲間(橘三郎、吉之助)に八ツ橋のことを自慢する様がなんともかわいい。でもこれって現代で田舎のおっちゃんが上玉のホステスに夢中になるのと何ら変りないのだなあ。最高の花魁を我が物にしてホクホクして、吉原を手に入れた気になっている。八ツ橋の心を手中にしたわけでなく、金にまかせてチヤホヤされている部分が大きいはず。でもそんな次郎左衛門がなぜかかわいくってかわいくって。この場面の次郎左衛門が好きかどうかは、結局は次郎左衛門を演じる役者のキャラが好みかどうかってことなんだと思う。吉右衛門様贔屓の私はもちろんこの場面の次郎左衛門の萌えぶりに萌えなわけで笑。この場面が微笑ましければ微笑ましいほど、後半の悲劇が頭をよぎり恐ろしくもあり。

三幕目、間夫、繁山栄之丞(菊五郎)登場。
菊五郎さん、間夫にみえない。間夫って、自分の女を「俺の女だ」と思い通りにする自分勝手さがあり、且つ、それだけの色気と度量も必要。でも菊五郎さんの間夫は、折り目正しく礼儀をわきまえており、愛想尽かしを強制するような男にはみえない。

そして「八ツ橋部屋縁切りの場」。​八ツ橋が右手に立てた煙管を唯一の支えにしての愛想尽かし。そりゃもう必死の思いで「あんたのことが嫌になった(大意)」と言う表情は痛ましい。かわいそうなのは次郎左衛門。商人仲間に八ツ橋のことを自慢しまくっていたところ、いきなり縁切りされてわけが分からず、八ツ橋の体調を心配したり江戸にいてもいいんだよと言ってあげるのが切ない。本当に縁切りするつもりだと分かった後、身の置き所をなくしてしまい、大きな図体で頭を下げて両手を床につき屈辱に耐える姿。あまりに惨めで、浮かれているときとの落差が大きすぎて、かわいそうでかわいそうで。それでも「そりゃあんまりつれなかろうぜ」と、最後の気力を振り絞って、大人の対応をしつつ言うべきことは言わんとする姿が痛ましくて。

ラスト、「立花屋二階の場」。​大詰め。
次郎左衛門に斬られた八ツ橋、ゆっくりと倒れる瞬間はスローモーションの映像のよう。右手を高く上げ、だんだんエビ反りになり崩れ落ちていく。斬られて徐々に我をなくしていく横顔が美しい。

斬ったあとの次郎左衛門、正気を失った表情、目は座っている。それまでの人の好さそうなキャラと正反対な分だけ恐ろしい。絞り出すような「籠釣瓶は斬れるなあ」の台詞は夢に出てきそう。未だに耳元から離れない。

ちょいメモ備忘録20160209-11

佐野次郎左衛門(吉右衛門)は、吉右衛門の善人ぶりが大好きな私にとって、たまらない役柄。廓を金で手中にしたと思った男がその廓に裏切られ逆上し翻弄されるまでの過程に、強烈な説得力がある。八ツ橋(菊之助)、菊之助の花魁は、多少理知的でありつつ普通の女性らしさも垣間見せており、こういう花魁もいるのではと思わせられる。吉右衛門との相性も良かった。最初の見染が絶品。

繁山栄之丞(菊五郎)は、ニンではないのだな、きっと。立花屋長兵衛(歌六)、おきつ(魁春)とも、ピシッと筋を通しそうな商人夫婦。この二人が仕切る立花屋さん、商売繁盛で儲かりそう。下男治六(又五郎)、又五郎さん、意外に子分肌もうまい。縁切りの場、治六のおかげで佐野次郎左衛門がさらにみじめに見えてくる。釣鐘権八(彌十郎)、金の無心を断られ八ツ橋のことを栄之丞に告げ口する自分中心的な男。兵庫屋九重(梅枝)、縁切後の場面でもっと佐野次郎左衛門に思いを寄せる雰囲気が出るかと思いきや、そうでもなかった。

ちょいメモ備忘録20160209-13

大満足。「籠釣瓶花街酔醒」は、「名月八幡祭」と同様、善人→狂喜の流れ。こういう役は吉右衛門がピカ一。千穐楽にもう一度見たいのだけど、とりあえず見納め。


23:55 鑑賞記録 | コメント(0) | トラックバック(0)
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