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秀山祭九月大歌舞伎「毛谷村」「道行旅路の嫁入」「極付幡随長兵衛」

2017/09/24
平成29年9月23日、1年半ぶりに歌舞伎座へ。

しばらく歌舞伎から離れている間に、芝雀さんは雀右衛門を、橋之助さんは芝翫を、勘九郎のご子息は勘太郎、長三郎を、彦三郎さん亀三郎さん亀寿さんは楽善、彦三郎、亀蔵を襲名し、じゅふたんは初お目見えをして、どんどん歌舞伎界が別物になったようで気分はすっかり浦島太郎。

とても新鮮な気持ちで行ってきました秀山祭。

ちょいメモ備忘録20170923-01

一、彦山権現誓助剱  毛谷村
毛谷村六助:染五郎/お園:菊之助/杣斧右衛門:吉之丞/お幸:吉弥/微塵弾正実は京極内匠:又五郎

六助(染五郎)、見る前から染五郎の六助か想像できた。実際想定通り。垢抜けないけれど愛嬌があって面倒見がよくて。力持ち感はなかったがはまり役。はまり役すぎて、もう一歩進化した六助を期待したいところ。

お園(菊之助)は武家の娘の風情がよくでている。でもいいなずけに会えて喜ぶ場面は時蔵さんが演るおきゃんな感じが好き。菊之助のお園は豊満な色気溢れるバーのマダムみたい。そのためか、六助とお園が実は許嫁と分かり互いの態度が豹変するというコミカルな展開が少々重く感じられた。

お幸(吉弥)、さすが。凛とした姿勢の武家の女。それなのに六助といきなり斬り合う場面もおかしみが感じられた。微塵弾正、実は京極内匠(又五郎)、悪人の存在感を見せつつ悪知恵を働かせる軽さも持ち合わせる。

ちょいメモ備忘録20170923-02

二、仮名手本忠臣蔵 道行旅路の嫁入
戸無瀬:藤十郎/小浪:壱太郎/奴可内:隼人

幕が開き胸がすくような富士山がどーん!歌舞伎のこういう空間の使い方がイイ。

戸無瀬の藤十郎さん、85歳!お身体が若い人のように動かなくても、母性全開、溢れる愛情、そんじゃそこらの若輩者には太刀打ちできず。
ちょいメモ備忘録20170923-03

小浪(壱太郎)、可憐さに磨きが掛かった。周りが霞んで見えるほど、眩ゆいほどに煌めいている。白みがかった振袖が本当によく似合う。壱太郎のこの年令だからこそ醸し出せる瑞々しさ、愛らしさ。今がピークとすら思う。

奴可内(隼人)、よかった!以前なら父錦之助が演る役なのだろうが、隼人も十二分に魅せた。素人評価だけど踊りが上手くなったなあ。なんかうれしいぞ。

三、極付 幡随長兵衛 「公平法問諍」
幡随院長兵衛:吉右衛門/水野十郎左衛門:染五郎/近藤登之助:錦之助/子分極楽十三:松江/同 雷重五郎:亀鶴/同 神田弥吉:歌昇/同 小仏小平:種之助/御台柏の前:米吉/伊予守頼義:児太郎/坂田金左衛門:吉之丞/慢容上人:橘三郎/渡辺綱九郎:錦吾/坂田公平・出尻清兵衛:又五郎/唐犬権兵衛:歌六/長兵衛女房お時:魁春

本日のお目当て。吉右衛門の幡随長兵衛を是非とも舞台で見たかった。

長兵衛(吉右衛門)、人情味あふれ子煩悩。それでいて清濁併せ呑む親分肌。劇中劇「公平訪問諍」で客の諍いを治めるときの流れるような台詞回しから醸し出される親分としての男ぶり。水野から迎えが来た事を知った瞬間からその大きな体から溢れ出るのは、頭として人の上に立つ者が負う身を引き裂かんばかりの孤独。風呂を勧められたとき、目を大きく見開き自分の運命を受け入れ諦めの境地に達する哀しさ。

格好良すぎて惚れずにいられません。
ちょいメモ備忘録20170923-05

劇中劇「公平法問諍」はやっぱり楽しい。このまま続きを見たいと思ったくらい。

坂田公平(又五郎)、気は優しくて力持ちのスーパーヒーロー。劇中劇の人物だけに荒事も軽めに抑えている。
ちょいメモ備忘録20170923-04

伊予守頼義(児太郎)、みずみずしい色気を放ち華やか。慢容上人(橘三郎)、コミカルな生臭坊主。坊主がぴょんぴょん飛ぶ構図が笑えた。

他方、長兵衛と対立する水野十郎左衛門(染五郎)、染五郎のニンでは全くないと思うが、水野の非情さ冷酷さを表情、台詞から浮かび上がらせていた。近藤登之助(錦之助)、同じくニンではないと思うが、年季が入っている分、型と性根が一致。坂田金左衛門(吉之丞)、水野の権力をかさに着る小物感。

長兵衛女房お時(魁春)、一時休演で心配したが復活してくれてうれしい。長兵衛には自分の感情を押し殺そうとしても夫への思いがひたひたと滲み出る抑え気味の妻が似合う。
ちょいメモ備忘録20170923-07

「幡随長兵衛」、吉右衛門贔屓としては大満足。見に行けて本当に良かった。他の役者の長兵衛を見たことはある。が、今日吉右衛門版長兵衛を見てこういう長兵衛を見たかったのだと実感。この長兵衛を超える長兵衛は私の中では当分出てこないだろう。

ちょいメモ備忘録20170923-06


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二月大歌舞伎「籠釣瓶花街酔醒」

2016/02/09
「籠釣瓶花街酔醒」!
歌舞伎を好きになってから、一番見てみたかったお芝居。それも播磨屋さんので。夢がかなった。

ちょいメモ備忘録20160209-12

三世河竹新七 作 籠釣瓶花街酔醒
序幕 吉原仲之町見染の場、二幕目 立花屋見世先の場、大音寺前浪宅の場、三幕目兵庫屋二階遣手部屋の場、同廻し部屋の場、同八ツ橋部屋縁切りの場、大詰 吉原仲之町見染の場

佐野次郎左衛門:吉右衛門/兵庫屋八ツ橋:菊之助/下男治六:又五郎/兵庫屋九重:梅枝/同七越:新悟/同初菊:米吉/遣手お辰:歌女之丞/絹商人丹兵衛:橘三郎/釣鐘権八:彌十郎/立花屋長兵衛:歌六/立花屋女房おきつ:魁春/繁山栄之丞:菊五郎

​序幕「吉原仲之町見染の場」。佐野次郎左衛門が八ツ橋を見染める場。この場、すごくよかった。

開演当初、舞台は真っ暗。パッと明るくなったと思ったら、そこは吉原の町。花魁道中の煌びやかなこと!この世のものと思えない華やかさ。次郎左衛門(吉右衛門)と下男冶六(又五郎)が思わず立ち尽くし浮かれるのももっとも。

そして八ツ橋(菊之助)が見せる笑み。女神のように高貴なのに、男を惑わす魔性も垣間見え、すべてを見通しているようでもあり、無心の幼女のようでもある吸い込まれそうな微笑み。微笑んでいる間は結構長い。八ツ橋は一瞬微笑んだにすぎないのだろうけど、次郎左衛門にはそれだけ長く感じられたということか。雷に打たれたような表情。茫然自失状態となり八ツ橋に心を持っていかれる。この先八ツ橋に翻弄されることが目に見えるようで心配になったところで幕。

ちょいメモ備忘録20160209-14

​二幕目、次郎左衛門が吉原に通いつめる場面。
次郎左衛門、八ツ橋にメロメロになりなっている表情や、商人仲間(橘三郎、吉之助)に八ツ橋のことを自慢する様がなんともかわいい。でもこれって現代で田舎のおっちゃんが上玉のホステスに夢中になるのと何ら変りないのだなあ。最高の花魁を我が物にしてホクホクして、吉原を手に入れた気になっている。八ツ橋の心を手中にしたわけでなく、金にまかせてチヤホヤされている部分が大きいはず。でもそんな次郎左衛門がなぜかかわいくってかわいくって。この場面の次郎左衛門が好きかどうかは、結局は次郎左衛門を演じる役者のキャラが好みかどうかってことなんだと思う。吉右衛門様贔屓の私はもちろんこの場面の次郎左衛門の萌えぶりに萌えなわけで笑。この場面が微笑ましければ微笑ましいほど、後半の悲劇が頭をよぎり恐ろしくもあり。

三幕目、間夫、繁山栄之丞(菊五郎)登場。
菊五郎さん、間夫にみえない。間夫って、自分の女を「俺の女だ」と思い通りにする自分勝手さがあり、且つ、それだけの色気と度量も必要。でも菊五郎さんの間夫は、折り目正しく礼儀をわきまえており、愛想尽かしを強制するような男にはみえない。

そして「八ツ橋部屋縁切りの場」。​八ツ橋が右手に立てた煙管を唯一の支えにしての愛想尽かし。そりゃもう必死の思いで「あんたのことが嫌になった(大意)」と言う表情は痛ましい。かわいそうなのは次郎左衛門。商人仲間に八ツ橋のことを自慢しまくっていたところ、いきなり縁切りされてわけが分からず、八ツ橋の体調を心配したり江戸にいてもいいんだよと言ってあげるのが切ない。本当に縁切りするつもりだと分かった後、身の置き所をなくしてしまい、大きな図体で頭を下げて両手を床につき屈辱に耐える姿。あまりに惨めで、浮かれているときとの落差が大きすぎて、かわいそうでかわいそうで。それでも「そりゃあんまりつれなかろうぜ」と、最後の気力を振り絞って、大人の対応をしつつ言うべきことは言わんとする姿が痛ましくて。

ラスト、「立花屋二階の場」。​大詰め。
次郎左衛門に斬られた八ツ橋、ゆっくりと倒れる瞬間はスローモーションの映像のよう。右手を高く上げ、だんだんエビ反りになり崩れ落ちていく。斬られて徐々に我をなくしていく横顔が美しい。

斬ったあとの次郎左衛門、正気を失った表情、目は座っている。それまでの人の好さそうなキャラと正反対な分だけ恐ろしい。絞り出すような「籠釣瓶は斬れるなあ」の台詞は夢に出てきそう。未だに耳元から離れない。

ちょいメモ備忘録20160209-11

佐野次郎左衛門(吉右衛門)は、吉右衛門の善人ぶりが大好きな私にとって、たまらない役柄。廓を金で手中にしたと思った男がその廓に裏切られ逆上し翻弄されるまでの過程に、強烈な説得力がある。八ツ橋(菊之助)、菊之助の花魁は、多少理知的でありつつ普通の女性らしさも垣間見せており、こういう花魁もいるのではと思わせられる。吉右衛門との相性も良かった。最初の見染が絶品。

繁山栄之丞(菊五郎)は、ニンではないのだな、きっと。立花屋長兵衛(歌六)、おきつ(魁春)とも、ピシッと筋を通しそうな商人夫婦。この二人が仕切る立花屋さん、商売繁盛で儲かりそう。下男治六(又五郎)、又五郎さん、意外に子分肌もうまい。縁切りの場、治六のおかげで佐野次郎左衛門がさらにみじめに見えてくる。釣鐘権八(彌十郎)、金の無心を断られ八ツ橋のことを栄之丞に告げ口する自分中心的な男。兵庫屋九重(梅枝)、縁切後の場面でもっと佐野次郎左衛門に思いを寄せる雰囲気が出るかと思いきや、そうでもなかった。

ちょいメモ備忘録20160209-13

大満足。「籠釣瓶花街酔醒」は、「名月八幡祭」と同様、善人→狂喜の流れ。こういう役は吉右衛門がピカ一。千穐楽にもう一度見たいのだけど、とりあえず見納め。


23:55 鑑賞記録 | コメント(0) | トラックバック(0)

二月大歌舞伎「源太勘當」「浜松風恋歌」

2016/02/09
二月大歌舞伎座、夜の部へ。すでにお雛様が飾られている。春は近い。
ちょいメモ備忘録20160209-06

ちょいメモ備忘録20160209-07

​一、ひらかな盛衰記 源太勘當
梶原源太景季:梅玉/腰元千鳥:孝太郎/横須賀軍内:市蔵/茶道珍斎:橘太郎/梶原平次景高:錦之助/母延寿:秀太郎

長男次男のキャラの対比、長男を思う母心と、一途な千鳥という人物描写が見どころか。

梶原源太景季(梅玉)、因果等に縛られやすい要領の悪い長男らしさ。景季は因果というか、佐々木高綱の恩義に報いようとしたのだけれど。母親思いなところも長男らしい。

ちょいメモ備忘録20160209-04

梶原平次景高(錦之助)、ピカピカしてた。お化粧が綺麗でかっこいい。愛之助を思い出す。すべてを分かっているつもりで実は何も分かっていない、えばりんぼうの次男坊。母延寿(秀太郎)、鉄板のお母さん役。武家の女らしく、本心をなかなかみせず因果にのっとろうとする。でも息子思う気持ちは一倍。腰元千鳥(孝太郎)の「ピピピピピー」、かわいいかも。律義に見えないこともない?一途に思う役では声が甲高くなるのだね。茶道珍斎(橘太郎)、坊主頭が似合っていて、かわいい。

義太夫がまさかの葵太夫さんで嬉しかった。

ちょいメモ備忘録20160209-05

三、小ふじ此兵衛 浜松風恋歌(はままつかぜこいのよみびと)
海女小ふじ:時蔵/船頭此兵衛:松緑

恋歌と書いて「こいのよみびと」と読む。

海女小ふじ(時蔵)、ふわふわっと踊っていた。海女さんってこんな感じ?船頭此兵衛(松緑)は、きびきびしている。花道から登場したとたん見とれた。こういうはっきりした動きにはつい目が行く。

ちょいメモ備忘録20160209-16

時蔵と松緑、あまり相性がよくないのかも。此兵衛が小ふじを追い回し、小ふじが此兵衛を翻弄する設定なのだが、小ふじは一人でふわふわしていて、二人別々に踊っているみたいだった。

ちょいメモ備忘録20160209-09

松緑、浮世絵にそっくりだ。

23:26 鑑賞記録 | コメント(0) | トラックバック(0)

壽初春大歌舞伎「猩々」「二条城の清正」「吉田屋」「直侍」

2016/01/26
1月24日(日)、歌舞伎座夜の部へ。
ちょいメモ備忘録20160124-01

一、猩々
猩々:梅玉/酒売り:松緑/猩々:橋之助

「猩猩」とはーー中国の空想上の動物だそうです。Googleで画像検索するとオランウータンがいっぱい出てくる。類人猿?昨年新春浅草歌舞伎でみたときは猩々が一人Ver.だった(種之助)。二人Ver.もあるのだね。

橋之助さん、梅玉さん、お二人の猩々の赤い鬘がまぶしい。橋之助のくっきりした猩々と、梅玉の柔らかみのある猩々。梅玉さんの方が動きに緩急があり、妖しさ、風格を感じる。この二人の組み合わせは珍しいのか、息が合ってないように見えた。
ちょいメモ備忘録20160124-02

酒売り(松緑)、白塗りにぱっちりした目おちょぼ口が可愛すぎ。

まずは猩猩でお正月気分復活です。

ちょいメモ備忘録20160124-04

二、吉田絃二郎 作 秀山十種の内 「二条城の清正」 
二条城大広間の場、淀川御座船の場
加藤清正:幸四郎/大政所:魁春/豊臣秀頼:金太郎/井伊直孝:松江/池田輝政:廣太郎/斑鳩平次:錦吾/浅野幸長:桂三/藤堂和泉守:高麗蔵/本多佐渡守:彌十郎/徳川家康:左團次
ちょいメモ備忘録20160124-09

加藤清正(幸四郎)、とても良かったのだと思う。秀頼を命をかけて守らんとする熱い忠義心。いつまでもお仕えしたいが自分はもう若くなく、秀頼の行く末を案じる気持ちも伝わってきて。幸四郎さん、やや洋風、迫力ある大熱演。

秀頼(金太郎)、いつの間にやら立派に成長。見事な美少年ぶり。三階席からもオペラグラスを通してだけどまつ毛が見える。ただ、いかんせん身長が低く、声変わりもまだ。フィクションはフィクションであることを前提に見るべきと分かっていても、あの秀頼、何歳設定なんだと思わずにはいられない(計算したら、リアルでは秀頼19歳、金太郎現在10歳)。それはともかく、長い台詞もある芝居を十分持たせたと思う。もう少し待てば秀頼を十分演じきれると思えたのがうれしい。

家康(左團次)、狸親父の家康のイメージに近い。大政所(魁春)、白塗りに白い頭巾をかぶりかわいい。

芝居としてとても良かったと思うし、幸四郎と孫の共演を楽しむのも歌舞伎ならでは。ただ、台詞中心の芝居はどうしても睡魔が。気がついたらお隣Nちゃんと頭を寄せ合い寝ていたような。幕切れの大坂城も気がつかなかった。

三、玩辞楼十二曲の内 「廓文章」吉田屋
藤屋伊左衛門:鴈治郎/吉田屋喜左衛門:歌六/阿波の大尽:寿猿/おきさ:吉弥/扇屋夕霧:玉三郎

吉田屋、昨年も鴈治郎はんの襲名披露でみた。あのときは藤十郎さんの夕霧に圧倒された。

最初、お正月だからかお餅つき。おめでたいね。

伊左衛門(鴈治郎)、花道の出から柔らかみが感じられてあー上方歌舞伎だなと思う。手の動き、足の動き、身体の線がふんわり。若旦那のボンボンぶりも良く出ている。ただ藤十郎さんと比べると何かが足りない。若旦那の風格と色気?玉三郎の夕霧にもったいない気がしてしまう。

その夕霧(玉三郎)、きれいでした。やっぱりお正月はきれいな玉三郎さん。茨木は素晴らしかったけど、目の保養なら夕霧でしょう。見返り美人で見せる打掛が美しすぎて。柿葺落で玉三郎さんの夕霧をみたときは、伊左衛門のこと本当に好きなんだろかと思ったが、今回は一途な思いが伝わってきた。
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「吉田屋」、伊左衛門と夕霧、というより、鴈治郎と玉三郎という組み合わせがどこかしっくりこなかった。今後に期待か。

ちょいメモ備忘録20160124-05

四、河竹黙阿弥 作 雪暮夜入谷畦道(ゆきのゆうべいりやのあぜみち)
直侍 浄瑠璃「忍逢春雪解」

片岡直次郎:染五郎/三千歳:芝雀/暗闇の丑松:吉之助/寮番喜兵衛:錦吾/丈賀:東蔵

「直侍」―演目名だけはよくきくので、楽しみにしていた。

幕が開くと、しんしんと雪振るなかに佇むお蕎麦屋さん。その中でお蕎麦を食べる人たちの姿から感じられる江戸情緒がたまらない。お蕎麦の食べ方がイイ。ただ私の中で好きなお蕎麦の食べ方No.1、「鬼平犯科帳」のエンディングを上回ることはなかった。

片岡直次郎(染五郎)登場。人の好さそうな染五郎が、悪事を働き追われる身となったからこその陰影と憂いを含んだ表情の直次郎に大変身。素足に下駄を履き傘を持つ立ち姿にもう少し風格が欲しかったけど、目に色気があり、歩く姿も様になってた。意外や意外、はまり役では。

丈賀(東蔵)が素晴らしい。東蔵さん、立ち役を見るのは初めてですごく楽しみにしていた。さすが期待を裏切らない、いや、それ以上のお芝居。お蕎麦屋さんに入ってきただけで、冷たい外の空気を持ち込んできたよう。劇場の温度が何度か下がったみたいだ。丈賀が火鉢で手を温めているのを見ると、こちらの手まで冷たくなる。短い箸の持ち方も目の見えない按摩ならでは。これぞ役者。

三千歳(芝雀)、顔が小さい直次郎(染五郎)と並ぶと、顔が大きいのが目立つ。最初オペラグラスで見たけど不似合な気がして、その後オペラグラスを通さず見たら二人のバランスが取れてきて芝居に入り込めた。三千歳、やさぐれ感ある情婦の一途な情愛。二人が並んで片寄せあう場面、何ともいえない色気が滲み出ており、見ごたえあり。直次郎と三千歳のすれっからし感とやさぐれ感がさらに出たら、男と女の純情悲恋物語感が倍増しさらに良くなりそう。

暗闇の丑松(吉之助)、今回一番黙阿弥の七五調の台詞を堪能させてくれたのはこの人。黙阿弥のセリフってずっと続くと飽きるのだが、七五調を堪能したいという気持ちもあって。直次郎を訴えるか逡巡する心の動きがよくわかった。

ちょいメモ備忘録20160124-03

まったく正月らしくない芝居だけど、黙阿弥の芝居の江戸情緒、暗い因果にしばられる人間模様が味わえて大満足でした。

ちょいメモ備忘録20160124-08

09:24 鑑賞記録 | コメント(0) | トラックバック(0)

壽初春大歌舞伎 「廓三番叟」「鳥居前」「石切梶原」「茨木」

2016/01/18
1月15日歌舞伎座昼の部へ。なんと一等席!なのに寝不足なのはなぜ?
ちょいメモ備忘録20160115-01

一、廓三番叟
傾城千歳太夫:孝太郎/新造松ヶ枝:種之助/太鼓持藤中:染五郎

おおーさえ、おさえ。喜びありや♪

お正月らしい華やかな幕あけ。やっぱり一階席はイイ!衣装を近くで見られるだけでも幸せ。役者さんたちがこれでもかと言わんばかりに衣装を引き立てる見得をしてくれる。ゴージャスで別世界にいるみたいだ。あー来て良かった。

傾城(孝太郎)、厳そかなで風格あり。でもときどき浮かべる笑みが小悪魔で色っぽい。べっ甲のかんざしもお似合い。三人いる出演者中、圧倒的。
ちょいメモ備忘録20160115-04

新造(種之助)。「音羽屋」と大向こうが聞こえたので、知らないお弟子さんかと思ってしまった。おいおい。踊りが上手いということで抜擢か。浅葱色の着物がたまらなく可憐。種之助、女形の方が向いているかもしれない。というか女形にすすんでほしい。ややふくよかで生意気だけど愛らしい。仕草はみずみずしく可愛い。

太鼓持(染五郎)、若草色の衣装で登場。威厳ある傾城と可愛い新造に色を添える。二人に圧倒されて終わったような。

ちょいメモ備忘録20160115-02

二、義経千本桜  鳥居前
佐藤忠信実は源九郎狐:橋之助/源義経:門之助/静御前:児太郎/逸見藤太:松江/武蔵坊弁慶:彌十郎

赤がいっぱい使われている。赤っておめでたい気持ちにされてくれる色。鳥居も赤。衣装も義経以外、みんな赤が使われている。弁慶も赤。きれいだった。

この演目でも近くで見る良さを実感、感情表現がよりリアルに見えることがある。静御前(児太郎)が義経(門之助)を思う気持ちとか、弁慶(彌十郎)が「俺も連れてってくれー」訴える利かん気ぶりとか。静御前が弁慶を連れてってあげるようとりなした後、「じゃあ、私も一緒に連れてってくれるよね、へへっ」って調子にのった感じでアピールする表情が可愛い。

義経(門之助)、クール。静御前も大切だけど男はやっぱり仕事と思ってそう。逸見藤太(松江)、ニンじゃないのに型にのせてて嬉しい。台詞のテンポがもう一つ。

そして橋之助(佐藤忠信実は源九郎狐)、遜色なくまとめていた。橋之助、様式美重視の演目だと安心してみていられる。狐手など、ケレン味がもう一つの気がしたが、「四の切」と違い「鳥居前」はこういうものなのだろうか。

三、梶原平三誉石切  鶴ヶ岡八幡社頭の場
梶原平三景時:吉右衛門/梢:芝雀/俣野五郎景久:歌昇/奴菊平:種之助/山口十郎:由次郎/川島八平:桂三/岡崎将監:宗之助/剣菱呑助:男女蔵/大庭三郎景親:又五郎/六郎太夫:歌六

石切梶原!これを見るために一階席にしたのです。

吉右衛門さん、キラキラ。ニヤリと笑う表情は、一筋縄でいかなそう。腹に一物ある食えないやつ。そこに梶原の器量の大きさ、懐の大きさが現れている。

胴を真っ二つに切るときの気合。刀を見定めるときの眼光の鋭さにも見とれるが、表情に情の深さが滲み出る梶原のキャラが素敵。六郎太夫(歌六)の持ってきた刀が源氏ゆかりの刀と分かる場面、源氏を思う気持ちは同じと六郎太夫を同志として見つめる熱い想い。自分が源氏派であることを証すときの強い覚悟。

何度も演じ完成されたお役を見る幸せ。
ちょいメモ備忘録20160115-05

六郎太夫(歌六)、花道に登場したとたん人の良いじいさんということが瞬時にして分かる。娘思いの優しいお父さんでみんな大好き。梢(芝雀)、水色の着物が似合う乳想いの綺麗で優しい娘さん。俣野五郎(歌昇)、敢闘賞。一生懸命頑張ってた。目を見開いて、台詞もそれらしく、動きも大きい。ちゃんと赤っ面になっててうれしい。実は性格の良い大庭三郎(又五郎)、まじめな又五郎さんにぴったりのお役。剣菱呑助(男女蔵)、ちゃんと客席を沸かせておりなぜか一安心。

ちょっとおじいちゃん梶原。でも今の吉右衛門さんの梶原だった。感情表現や台詞の細かい動きがみられて良かった。「役者も役者」の大向こうもなくスッキリ。

四、河竹黙阿弥 作 新古演劇十種の内 茨木
伯母真柴実は茨木童子:玉三郎/士卒運藤:鴈治郎/士卒軍藤:門之助/太刀持音若:左近/家臣宇源太:歌昇/渡辺源次綱:松緑

伯母真柴実は茨木童子(玉三郎)が圧巻。

松羽目もので舞台は明るいのにひんやりとした空気を醸し出す。その妖しさ、不気味さ。だけど美しい。腕に近づきニヤリとする場面は恐ろしく、舞を舞う場面では枯れていても優雅さは失われず。舞台が玉三郎の醸し出す妖しさに支配される。

渡辺源次綱(松緑)、松緑らしい綱ではまっていた。伯母さんに騙されてしまう役どころが、実は人の良い松緑に似合っている。士卒は門之助と鴈治郎。二人とも踊り上手い。品がある門之助さんの踊りが好み。太刀持音若(左近)、のびやかに堂々と踊っていた。

ラスト、茨木童子と綱、二人の気合いの闘い。松緑のかっと目を口を開いた表情と正体を完全に表した玉三郎。どちらも負けていなかった。
ちょいメモ備忘録20160115-06

玉三郎さんのすごさを実感した茨木でした。
ちょいメモ備忘録20160115-03

この日は観光バスが乗り付けており、歌舞伎初見の方が多かったのか。玉三郎さんや橋之助さんや染五郎が花道の七三まで登場しても誰も拍手してない、みんなもっと拍手しよーよーと思った歌舞伎座初めでした。

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