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「夜叉ケ池」「天守物語」 泉 鏡花

2014/07/16
その昔竜神が封じこめられた夜叉ケ池。萩原はただ一人、その言伝えを守り日に三度の鐘撞きを続けるが…。幻想と現実が巧みに溶けあわされた『夜叉ケ池』。播州姫路城の天守にすむという妖精夫人富姫の伝説に取材して卓抜なイメージを展開させた『天守物語』。近年新たな脚光をあびる鏡花(1873‐1939)の傑作戯曲2篇(「BOOK」データベースより)。

夜叉ヶ池・天守物語 (岩波文庫)

言葉が草木にこぼれた珠の露のようにつるつると転がる。天守物語の富姫は、玉三郎そのものとさえ思う。

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00:14 歌舞伎戯曲等 | コメント(0) | トラックバック(0)

「元禄忠臣蔵」 真山青果 (真山青果全集第1巻)

2014/06/07
総ページ数700ページ以上!図書館で予約してカウンターで受け取るときその分厚さに「借りるのやめます」と口走りそうになった。

比較的最近書かれた歌舞伎の筋書きだけあり、読みやすい。大石内蔵助をはじめとする赤穂浪士が生き生きとしている。四十七士の討ち入り前後の心理描写がリアル。討ち入り後、誰が吉良上野介を討ったかでもめたりして。

そして大石内蔵助。他の登場人物が目先の利益とかにとらわれた意見を交わした後の、内蔵助の物事の本質をずばっと突く発言が本当にかっこいい。内蔵助の発言を追うだけでも一読の価値あり。

大正12年に撮影した大石内蔵助の家の写真まで掲載されており驚いた。当時の地図も豊富に収録。速読、というか流し読みに終わったが、7年間費やし描かれただけあり非常に読み応えがある一冊。真山青果の筆力に素直に感心。

    真山青果全集〈第1巻〉 (1975年)
enomi20140618-01.jpg

01:57 歌舞伎戯曲等 | コメント(0) | トラックバック(0)

「東慶寺花だより」 井上ひさし

2014/01/11
「どうしても夫と別れたい」。離婚を望み、決死の覚悟で駆け込み寺にやってきた女たち。けれどもその理由はどれもこれも一筋縄ではいかなくて…。夫婦の絆、名もなき人々の強さ、生きる喜びを謳いあげた遺作(「BOOK」データベースより)。

東慶寺花だより

縁切寺のシステムが面白い。

駆け込んだ妻方と駆け込まれた夫方の、離縁話に係り合いある者たちがお白州へ呼び出され、それぞれの言い分を寺役人に申し伝える。妻方の言い分に理があるときは、夫方は離縁状を書くよう勧められ、示談へ。でも夫が離縁状を書かないと言い張ったときは、東慶寺が妻の身柄を預かる。断髪にして、生臭もの、にんにく、ねぎ、にら、あさつき、らっきょうの五辛を絶った粗末な暮らしをさせ二十四か月たって、髪も長くなったころ俗世間に還す。そのときは、夫は必ず離縁状(=再婚許可証)を書かねばならない。

江戸時代の強くたくましい女たちの人間模様。離縁して自分の持参金を、夫に仕事で使ってもらうべく縁切寺に駆け込んだ「おせん」が清々しい。

22:49 歌舞伎戯曲等 | コメント(0) | トラックバック(0)

「陰陽師 瀧夜叉姫」 夢枕 獏

2013/09/18
鬼が女の頚に、ぞぶりと噛みついていた…。平安の都に次々起きる怪事件。やがてそれらが都を滅ぼす恐ろしい陰謀へと繋がって行く。晴明と博雅が立ち向かう相手とは?シリーズ待望の大長編(上)。首のない屍体が、びくりと背を反らせる…晴明と博雅は俵藤太らとともに、平将門の死の謎を追ううちに、彼の遺灰を盗み出した者がいたことを突き止める。背後に蠢く邪悪な男の正体は―(下)。(「BOOK」データベースより)。

陰陽師 瀧夜叉姫 (上)

陰陽師 瀧夜叉姫 (下)

歴史物は苦手なので、気合を入れて。一見分量は多いが、散文調でさくさくと読み進められた。瀧夜叉姫が全然出てこないーと思ったのだが、読み返したら実はしょっちゅう顔を出していたみたい。蛇、蜘蛛の登場、百鬼夜行との遭遇、虫を使っての瘡の治療などなど、安倍晴明や平将門と魑魅魍魎が跋扈する平安の世界を満喫。20年前がその時代を生きた人にとって、ほんの一昔前に過ぎないのは今も変わらず。

00:02 歌舞伎戯曲等 | コメント(0) | トラックバック(0)

「四谷怪談は面白い」  横山泰子

2013/07/05
7月花形歌舞伎で「東海道四谷怪談」を初めて観に行く。予習として、人物相関図を描きながら、東京創元社の名作歌舞伎全集9巻を読む。

舞台が豊島区雑司ヶ谷四谷町であることにまずびっくり。四谷じゃないんだ。でもそれとは別に、新宿区左門町、四谷三丁目に「於岩(おいわ)稲荷田宮神社」がありお岩さんを祀っているらしい。

で、さらに「四谷怪談は面白い」を読んでみた。とても面白かったので、要点をまとめておく。

四谷怪談は面白い

一、登場人物について。

まず、お岩さんが最も呪った伊右衛門。

てっきり伊右衛門がお岩を捨て新しい女に走ったから呪われたのだと思っていた。が、「伊右衛門は古女房と若い娘のどちらかで迷って、新しい方を選んだわけではない。また、塩冶浪人が敵方への仕官を望むのだから、愛を捨てて武士としての忠義をとる、という選択をしたのでもない。女か職のうち、後者を取ったのだ」(P.46)。「『四谷怪談』の伊藤喜兵衛内の場は、悪い男が妻を捨て、新しい女を取る決心をする、三角関係のドラマによくある決定的瞬間として理解されがちだ。しかしここは不条理な選択を迫られた伊右衛門が、新しい価値観によって生きる決心をする場面である」(P.47)とのこと。

単なる三角関係とはちょっと違うということみたい。

でも、これだけお岩さんに呪われるのだから、よっぽどすごい悪事をは働いたに違いないと思いきや、伊右衛門の犯した罪は、①盗み ②舅殺し ③詐欺(P.54) ④お岩の櫛を取り上げ、着物を剥ぎ、子供の蚊帳を持ち出す、宅悦にお岩の不義を強要(妻子虐待) ⑤小平殺し、小平とお岩を戸板に打ちつけ川に捨てたこと。「彼が自ら意志で行った行為はここまで」(P.57)。その後の ⑥お梅殺し ⑦喜兵衛殺し ⑧お弓殺しは、お岩さんの幽霊に操られるようにして犯したまで。「伊右衛門の行いは悪事には違いないが、一般に知られる『妻を捨てる』件に関しては、決定的な行為を何一つ行っていないことが注目される。」「問題の毒薬にしたところで、伊右衛門が『毒だと知った上で』お岩に渡したのではなかった」(p.58)。

まあ①から⑤でも十分な悪事だけど、積極的に捨てられたわけでもない且つファザコン(後述)のお岩さんがそこまで怒るほどの悪事なのか。やはり、「伊右衛門役者は、お岩の顔を見るまでは半信半疑でいたのだが、醜く変わり果てたのを自分の目で確かめたとたん、完全に愛想を尽かすように演ずる」(P.56)とあるように、伊右衛門に容姿で見限られたことに傷ついたのだろうか。

「悪人」としての伊右衛門について、本書では、「彼はいつも起こった出来事を後で知るにもかかわらず、つねにその場に応じて自分の都合のいいように行動する」(P.60)。「自分の考えや行動の善悪を問うことがない人間が、状況に応じて悪の方へ悪の方へ反応し、行動してしまう。そして、ある持久力がゆえに生き続けては悪事を重ねる・・・伊右衛門は無反省さと行動力、そして生に対する執着を持った悪人といえるのではないだろうか」(P.61)と評価されている。

そして、「伊右衛門の悪は、所詮はスケールの小さい、日常的な世界における陰湿な悪である。ところが、完結された小さな世界のなかでは、『その程度の悪』が絶対的な重みをもってしまうことがあり、そうした悪はその些細さゆえに表面化しないままエスカレートしてゆく」(p.62)というたちの悪いもの。

こんな伊右衛門だからこそ魅力的な役者に演じてほしい。なぜって、「われらが民谷伊右衛門は、そんな歌舞伎の悪のなかでも、『色悪』という役柄の典型」だから。「それまで歌舞伎の悪人は外見からして醜悪であったのだが、色悪は美しい姿形と冷酷な性質を持つ、外見と内面が乖離した二重性のある新しい役柄だった」。「なぜ伊右衛門に惹かれるか、それは舞台を見れば一目瞭然、伊右衛門がかっこいいからだ」(P.67)

次にお岩さん。

まず、お岩さんはファザコン。すなわち、「お岩は『父は』『父は』と父のことばかり口にする」。「お岩の関心は自分にも赤ん坊にも、ましてや元夫にもない」。「主人への忠義を重んずる父のため、そこまでするお岩は、生活力のある気丈な女だ。そのお岩が自殺を考えるのは、心の支えである父が死に、他に楽しみもないからだった」(p.33)。

そんな父の仇を討つために伊右衛門と夫婦になる。「困難な課題のことしか考えない女と目先の快楽しか考えなかった幼稚な男」。「希望の見えない、暗く単調な生活のなかで突破口を求める気持ちが、この後の事件の伏線になっている」(p.36)とのこと。

有名なお岩さんの容貌について、「お岩は醜い幽霊だと一般には知られているが、それは、①毒薬による顔の変化 ②鉄漿(おはぐろ)つけ ③髪梳きの三段階の過程をふんで出来上がった姿なのである。よって、お岩の醜い顔は①目の上の痣 ②黒く裂けたように見える口 ③禿げた頭 という三つの特色を持っている」(P.80)とまとめている。

こんな怖いお岩さんの出てきても四谷怪談が敬遠されないのは、「異形のお岩を『怖い』と他者的にとらえるのではなく、『女としてかわいそう』と感情移入した時、別のものが見えてくる」(p.94)から。「『年を重ねて魅力的である』ことは可能だが、それも、『自分の容貌が衰えるのは辛い』とう生々しい感覚を否定することにはならない。お岩の悲劇は、『容貌が衰える』ことに対する見物の潜在的な不安感をかきたて、刺激するところがあるのではないだろうか」(p.95)と分析。

そしてお岩が幽霊になった意義について、「お岩は、自分の顔が醜くなったとわかったときに、『変身する意志を持つ』のである。お岩にとって『これまでとは違った自分に変身する』とは、幽霊になることだった」(p.96)。

お岩の妹お袖を愛した直助について。

直助は伊右衛門と違い、一途な男。「好きな女に対しては相当しつこく、嫉妬深いとはいえ、恋する当の相手をいたぶることなどしない。お袖と一緒に暮らしていながら、なぜか手が出せない直助は、お袖の髪に櫛をさしてやったり、手を洗ってやったり、『女にまめな小悪党風』の愛嬌がある」(p.163)。

もっともそれなりに悪事を働いたことは間違いなく、「主殺しと近親相姦という、伊右衛門以上に派手な悪事が特徴である。もっとも彼の場合はわざと主人を殺したわけでも、妹を犯したわけでもなく、意図して行ったのは恋仇殺しのみであった。それが、思わぬ運命に操られて『畜生主殺し』となったところが劇的である。そして、最終的に改心して死んでいく」(p.164)という因果な運命を辿る。

そんな直助について、本書では、「直助はおそらくお袖がおとなしく自分の女房に落ちついてくれさえすれば、ちょっとした盗みや詐欺などもしながらでも、幸せな生活を営もうとする、小市民的な男だったのではないか」(p.165)と評価。それなのになぜ悲惨な末路を辿ったかというと、「生の秩序を乱せば、『人間』から逸脱するのだということを『畜生』なる表現は象徴的に表しているのではないか。人間の矩を超えた得体の知れない何か、畜生としか形容しえない不気味な存在に、自分がなり果てたのだという、恥ずかしさと恐れの気持ちが、直助の最後の一言に凝縮されている」(p.168)とのこと。

伊右衛門がお岩を捨てる端緒となったお梅について。

「お梅には父親がなく、祖父、母、乳母に守られて育った。この環境からして、彼女は男性というものにまるで免疫がなく、また世間知らずだったために、伊右衛門の美に簡単に参ってしまい、妻子持ちの貧乏浪人への恋を『非現実的だから火遊びにしておこう』と割り切って考えることもできず、思いつめてしまったのではないか」(p.41)。「お梅の恋が常軌を逸した危険なものであることは相違ない。その意味で、お梅は深窓の令嬢でありながら、どこか魔性を秘めている」(p.44)と評価。

二、歌舞伎としての四谷怪談の面白さについて。

この本を読む前は、一人何役も演ずる舞台は役者の集中力が欠くのでは、と思った。が、本書によれば、「お岩と小平の二役を一人の役者で見せることに重点を置くのが、歌舞伎の『四谷怪談』であり、それにこそ『隠亡掘の場』の面白さがある」(p.105)。

お岩、小平だけでなく、与茂七も同じ役者が演ずるのは、「男女の幽霊という不気味な存在だけを見せるのでは、見物も役者もたであ陰鬱な気持ちになるだけであるが、その暗さは最後に美男与茂七へのさわやかな早替りによって拭い去られる」(p.107)から、らしい。

三、忠臣蔵との関係について。

「伊藤喜兵衛は高師直方、お岩の父左門や民谷伊右衛門、佐藤与茂七、潮田又之丞は塩冶方、というように、ほとんどすべての登場人物が『忠臣蔵』世界に結びつけられている」。「四谷左門がなぜ貧苦にあえているかといえば、主家が断絶し、浪人を余儀なくされたからであり、与茂七がお袖と一時別れているのも、仇討ちの準備ゆえ、伊藤家が塩冶浪人の伊右衛門を婿にしたがるのは一つには敵の動静をさぐらんがためである。」(p.178)とまとめている。

もっとも忠臣蔵の仇討ちを全面的に賞賛しているわけでなく「義人を養うのには相当のことをしなければならない。義人を親にもつとほんとうに辛いわね」。「義人てほんとうにはた迷惑ね、という女の立場からの批判なんだけど」(p.182、鶴見俊輔)という文章が抜粋されている。

また、お岩お袖も仇討ちをしようとているのだが、「お岩・お袖姉妹の仇討ちが義士と決定的に異なるのは、彼女たちが頼っている夫こそが仇であって、その意味で彼女たちの仇討ちは成功するはずのない、むなしい目的なのだ。したがって、いってみれば、簡単に賛美できない『忠義』や『仇討ち』の意味をさらに突き詰めたのが、『東海道四谷怪談』なのである」(p.185)と分析。

追記。伊右衛門はアンリ=ジョルジュ・クルーゾー監督の「悪魔のような女」ならぬ「悪魔のような男」らしい。そのうちこの映画も見てみよう。

21:22 歌舞伎戯曲等 | コメント(0) | トラックバック(0)
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