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「仮想儀礼」 篠田 節子

2013/02/04
信者が三十人いれば、食っていける。五百人いれば、ベンツに乗れる―作家になる夢破れ家族と職を失った正彦と、不倫の果てに相手に去られホームレス同然となった矢口は、9・11で、実業の象徴、ワールドトレードセンターが、宗教という虚業によって破壊されるのを目撃する。長引く不況の下で、大人は漠然とした不安と閉塞感に捕らえられ、若者は退屈しきっている。宗教ほど時代のニーズに合った事業はない。古いマンションの一室。借り物の教義と手作りの仏像で教団を立ち上げた二人の前に現れたのは…。二十一世紀の黙示録的長篇サスペンス(上巻)。

社会から糾弾され、マスコミと権力の攻撃のターゲットにされた「聖泉真法会」に、信者の家族が奪還のために押しかける。行き場を失い追い詰められた信者たちがとった極端な手段。教祖・慧海のコントロールも超えて暴走する教団の行方は―。人間の心に巣くう孤独感、閉塞感、虚無感、罪悪感、あらゆる負の感情を呑み込んで、極限まで膨れ上がる現代のモンスター、「宗教」の虚実(下巻) (「BOOK」データベースより)
   
   仮想儀礼〈上〉   仮想儀礼〈下〉

上巻を読んでいる間は、宗教をビジネスとして立ち上げるのもありかも、と思ったが、下巻を読み、宗教を頼ってくる人たちを受け止める度量、器がなければ団体維持は難しいことを実感。

団体を設立した教祖の思惑を超えて、信者たちが教祖が及びもつかないの信仰心をもち、教祖が信者をコントロールしきれなくなっていく。そしてラストで教祖が信者を守るべく決意をする。信者の信仰に偽物の教祖が飲み込まれていくラストを美談として捉えるべきなのか、教祖は本物の教祖になったのか。これも一つのカルトなのか、それとも設立者としての責任を果たしただけなのか。

あと、女性信者に愛された宗教幹部矢口は、宗教団体の性のあり方の難しさを象徴する。「ハーレム」等と中傷されやすいが、本物の教祖は主人公桐生よりも矢口なのかもしれない。

ルポタージュのような淡々とした描写。なのに息もつかせぬ場面展開。宗教団体がテーマである以上、綿密に取材し且つさまざまな方面に配慮して書いているだろうことを考慮すると力作といってよいだろう。

15:42 日本・小説(新) | コメント(0) | トラックバック(0)
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