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歌舞伎座新開場 杮葺落五月大歌舞伎 第二部

2013/05/06
5月4日、またも杮葺落に行きました。第二部です。

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一、伽羅先代萩(めいぼくせんだいはぎ)御殿、床下
〈御殿〉乳人政岡:藤十郎、沖の井:時 蔵、松島:扇 雀、栄御前:秀太郎、 八汐:梅 玉
〈床下〉仁木弾正:幸四郎、吉右衛門:荒獅子男之助 

仙台、伊達藩のお家騒動をもとにした名作
 お家横領を企む仁木弾正らは、幼君鶴千代の命を狙おうとしますが、乳人政岡が我が子千松とともに若君の守護に努めています。そこへ管領の奥方栄御前が来訪し、鶴千代に毒菓子を勧めます。すると走り出て菓子を頬張った毒見役の千松を、弾正の妹八汐がなぶり殺しにしますが、政岡は顔色ひとつ変えません。栄御前は、政岡が味方であると思い込み、お家転覆の連判状を渡しますが、一匹の鼠が奪い去ります。宿直の荒獅子男之助が床下でその鼠を捕えようとすると、鼠に化けた仁木弾正が正体を現し、悠々と姿を消すのでした。
 伊達騒動を題材にした時代物の大作をご覧ください (公式HP)。
 

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乳人政岡は「女形の役の中で最も格の高い至難なもの」だと五代目歌右衛門さんが言っていたというのをきき、藤十郎さんがどう演ずるかを楽しみにしていた。うーーん、やはりさすがです。栄御前と連判状の取引をして武家の人間としての凛々しさを見せた後、栄御前が舞台を去り、息子千松を失った悲しみを体を震わせ大粒の涙をこぼして表現。千松の亡骸を抱き締めたりするわけじゃないのに、無念さ、慟哭が伝わってくる。「これ千松、よう死んでくれた。でかしゃった、でかしゃった、でかしゃった・・・」。まだ耳から離れない。

他の女形の役者さんも文句なしの顔ぶれ。悪賢そうな時蔵さん、扇雀さん。そして梅玉さん演ずる八汐。目のお化粧が怖くていかにも悪人顔。でもきれいだった。政岡の子供を短刀で刺す場面もこういってはなんだが見とれてしまった。絵になっていた。八汐と政岡にもっとバトルしてもらって一触即発で争ってみせるのも面白そう。

秀太郎さんの栄御前は子供を殺しているのに開き直って政岡と取引しているのがなんか不思議。でもすごい存在感。

子役の二人は役者さんの子供じゃないのかな。名前がわからない。でも二人ともうまかった。特に政岡の息子役。お菓子を蹴る型が決まっていた。

御殿の舞台が終わる頃、ネズミが出てくるとは聞いていたが、本当に出てきた。見逃さなくてよかった。

場面かわって床下。おまけみたいな場面で、吉右衛門様登場! 荒獅子男之助。かっこよかった。やっぱり一階席はいいなあ。型を決めてすぐ引っ込むんだけと、遠い三階で見るのと全然迫力が違う。声も伝わってくるし、平手をドンと前に出しただけでこちらが倒れそう。いつか吉右衛門さん主役の時代物を一階席で。

そして最後にネズミに化けてた仁木弾正が花道に。幸四郎ね。しゃべんなかったな。その方が私的にはプラス。一歩一歩花道を歩くだけでも重みがあってさすがでした。


二、夕霧 伊左衛門 廓文章(くるわぶんしょう)  吉田屋
  藤屋伊左衛門:仁左衛門、吉田屋女房おきさ:秀太郎、阿波の大尽:秀 調
  太鼓持豊作:千之助、番頭清七:桂 三、吉田屋喜左衛門:彌十郎、扇屋夕霧:玉三郎

廓の情趣溢れる上方和事の代表作
 放蕩の末、勘当された藤屋伊左衛門は、紙衣姿に零落しながらも恋人の夕霧逢いたさに新町の吉田屋へやって来ます。そして吉田屋の主人喜左衛門夫婦の情により、伊左衛門は座敷へ通されます。やがて夕霧が姿を見せると、伊左衛門はすねてつれなく当るので、太鼓持豊作がふたりをとりなします。伊左衛門が機嫌を直すところへ、勘当が許されたとの知らせが届き、晴れて伊左衛門は夕霧を身請けするのでした。
 情緒溢れる上方和事の名作をご堪能ください。 (公式HP)。

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母が見たがっていた作品なのだが、筋書きを事前に読んでなぜ??と不思議だった。要するに仁左衛門演ずる伊左衛門が素晴らしいということらしい。

実際、伊左衛門中心に観る作品といってよいだろう。

まず花道から登場するのだが、伊左衛門というか仁左衛門の色っぺーこと。色っぽいというより色っぺーね。夕霧書いたの手紙で作った紫色の紙衣を着て登場。編笠をかぶっているので顔が見えない。顔が見えないまま花道七三で少し踊るんだけど、手の動きだけでゾクゾクする。紫色の紙衣の袖から白ーい細ーい指が見えるんだ。ガラスの仮面で手だけで舞台に登場した月影先生が「手の動きだけでさすがですね」とか言われるシーンがあったけど、あんな感じ。『ジーナと5つの青いつぼ』ね。

手の動きで釘付けになった後の踊りも色っぺー全開。仁左衛門すごいなあ。奇跡の69歳だ。

ところでこの「廓文章」っていうのは上方歌舞伎に分類されるらしい。上方歌舞伎がどういうものかさっぱり分からなかったので今回楽しみにしていたんだけど、正直、吉本新喜劇の舞台みたいだった。って新喜劇観たことないんだけど。まあ、コントみたいってこと。例えば、伊左衛門が襖を何枚も開けてそわそわした様子を表す場面があるんだけど、襖を開けるとすぐに次の襖がある。で、ひとつ襖が開くと、同じ場所で伊左衛門が小走りというか足踏みをして、しばらくすると次の襖があく。奥行きのない舞台で奥行きを表しているんだと思うんだけど、伝わるかな?BGMの三味線もコントみたいだったし、こういうのが上方歌舞伎の特徴なんだろうか。

で、夕霧に逢いたくて小躍りしている伊左衛門が可愛いの。男のくせに女に久しぶりに会えるからってあんなにはしゃいで喜んじゃって、なんて全く思わない。この話、はっきり言ってほとんど伊左衛門の小躍りで終わるんだけど、1時間それだけをみせて飽きさせないっていうのは結構すごいのかも。

伊左衛門が会いにきたのは吉田屋さん。旦那の彌十郎演ずる喜左衛門と秀太郎演ずる女房おきさとの掛け合いも面白かった。彌十郎も好きな役者さんなんだけど、やっぱり伊左衛門とおきさの掛け合いかな。仁左衛門と秀太郎の兄弟掛け合いね。これもコントみたいだったんだけど。秀太郎さん面白いな。上方っぽい雰囲気を醸し出してた気がする。「知らぬ中でもないのに」って仁左衛門に言ってたのが笑えた。

さんざん待たせたあげく玉三郎演ずる夕霧登場。相変わらずお綺麗でした。はい。こちらは奇跡の63歳ね。「わしゃ わずろうてなあ」なんつって、病人役になるとプラスアルファで艶っぽくなる玉三郎。本人もきれいだけど、着物もやたら綺麗だった。派手な着物を見せつける場面ではその美しさに観客からため息が。立ち姿が綺麗な人だから着物が映えるんだな。夕霧はお人形さんみたいな役なんだろうか。身請けが決まって、伊左衛門は相変わらず小躍りしているのに、最後まで笑わない夕霧。そういえば、笑ってる玉三郎ってみたことないかも。

途中、太鼓持と踊ります。こちらは片岡千之助。仁左衛門のお孫さんね。テンポの良い踊りで拍手喝さい。将来が楽しみ。

上方歌舞伎っていうのは様式美だけでなく、即興、工夫、柔らか味、色気をのびやかに表現するものみたい。その意味が今回吉田屋を見て少し分かった気がする。庶民的な面白さとでもいうのかな。「伽羅先代萩」の藤十郎の正岡の悲しむ場面でも上方歌舞伎らしさがあったような気がする。五月第二部は上方歌舞伎の良さを味わえる二作品。大満足。出演者が豪華。そして未だに藤十郎と仁左衛門が目に焼き付いている。

・・・GW中、出かけたのがこの5月4日の柿葺落。風邪が悪化して5月3,5,6日は家で寝ていた。体調直してまた行きたいなあ。

22:38 鑑賞記録 | コメント(0) | トラックバック(0)
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