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竹本住大夫さんの引退公演「恋女房染分手綱」ほか

2014/05/24
七世竹本住大夫さんの引退公演へ。幸運にも切符を頂きました。文楽鑑賞歴2回目なのに申し訳ないです。

前回はかなり前方の席だったが、今回は後ろから三番目。舞台は俯瞰的に見えるよう工夫されていることを改めて痛感。 人形の細かい動作は見えない。でも、人形遣いの方が人形を動かし、同時に正面右からの浄瑠璃と三味線が聴こえてきたとたん、世界が一変。人形に命が吹き込まれるってこういうこと。スーパー歌舞伎に劣らないスペクタクルな世界。前より後ろだ。

一、増補忠臣蔵
前:竹本千歳太夫、竹澤團七/奥:竹本津駒太夫、鶴澤寛治/琴:鶴澤清公
<人形役割>井浪伴左衛門:吉田玉輝/加古川本蔵:吉田玉也/三千歳姫:吉田簑二郎/小姓:桐竹勘介(前半)吉田玉路(後半)/桃井若狭之助:桐竹紋壽/近習:大ぜい/下部:大ぜい
<尺八>川瀬順輔

加古川本蔵がなぜ虚無僧になったのか、高師直の屋敷の絵図面を持っていたのか、そのなぞがとけた。若狭之介が仕向けたのね。でもこの若狭之介、ちょっとひどい。若狭之介を討つといっておきながら、いきなり悪役(伴左衛門)の首をはねちゃうんだもの。調子にのった悪役だけに、かえってかわいそう。虚無僧になった本蔵は山科へ。九段目へ続く。

やはり文楽は、一人で何役も担当し、一人の声が人形によって違って聴こえるのが面白い。ただ、厚顔無恥で自分が持てると勘違いしている伴左衛門は竹本千歳大夫さんが合ってたなとか、本蔵は重めの竹本津駒大夫さんが合ってたなとか、聞き比べはしてた。

二、恋女房染分手綱(こいにょうぼうそめわけたづな)
   引退狂言 沓掛村の段、坂の下の段


沓掛村の段 前:竹本文字久大夫、鶴澤藤蔵/切:竹本住大夫、野澤錦糸
坂の下の段 八蔵:竹本文字久太夫/慶政:豊竹咲穂大夫/八平次:豊竹始大夫、鶴澤清友
<人形役割> 馬方八蔵:桐竹勘十郎/八蔵母:吉田文雀/掛乞米屋:吉田幸助/掛乞布屋:吉田玉佳(前半)吉田勘市(後半)/伜与之助後の三吉:吉田簑助/馬方治郎作:桐竹紋臣/座頭慶政 実は伊達与八郎:吉田和生/悪党熊造:桐竹紋壽/悪党虎吉:吉田玉女/鷲塚八平治:吉田玉志

「沓掛村の段」。住大夫さん、決して大きい声は出てなかったけれど、大夫として勤めた68年間のすべてをみせんとする語り。台詞に大阪ことばを使っていないのに、他の大夫さんより大阪を意識させられる。文楽はあちらが本場なのだなあ。まだまだ無邪気で幼い与之助と、与之助を慈しみ、立派に育てようと願う母。住大夫さんの与之助は限りなく無邪気であり、与之助が無邪気な分だけ哀れな母親のやるせない思い。その台詞にこめられる慈愛の念。そこから滲み出るのは住大夫さんの滋味に溢れる人柄。背負ってきた人生、人柄、慈悲の心まで感じさせられた浄瑠璃は、この日住大夫さんだけでした。

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「坂の下の段」
文楽の浄瑠璃は、一人で何人もの役および筋書き説明まで受け持つものだと思っていたが、違うパターンもあるらしい。この段では、一人ひとり役を分担していた。筋書きに「座頭」慶政とあったので、歌舞伎の座頭役者のことと勘違いしていた。「座頭市」とかの「座頭」ですね。

三、卅三間堂棟由来(さんじゅうさんげんどうむなぎのゆらい) 平太郎住家より木遣り音頭の段
中:豊竹睦大夫、鶴澤清志郎/切:豊竹嶋大夫、豊澤富助
<人形役割>進ノ蔵人:吉田文昇/平太郎の母:吉田簑一郎/女房お柳:吉田簑助/横曾根平太郎:吉田玉女/みどり丸:吉田玉誉/家来:大ぜい/木遣り人足:大ぜい
<囃子>望月太明藏社中

お柳さん、「柳」だけに緑色の衣装。実はお柳さんは柳の精だったというファンタジーの世界が楽しい。木遣り音頭とともに柳の木がひっぱられる装置に感心。

お花は左から西郷輝彦さん、中村吉右衛門さん、住大夫さんが人生の師とあおぐ高田好胤さんがお勤めしていた薬師寺さんより。もっと早く住大夫さんの浄瑠璃を聴きにいけばよかったです。
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23:17 文楽鑑賞 | コメント(0) | トラックバック(0)
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