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六月歌舞伎座「蘭平物狂」「素襖落」「名月八幡祭」

2014/06/22
6月22日(日)、六月歌舞伎座夜の部へ。三代目尾上左近の初舞台!
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一、倭仮名在原系図 蘭平物狂(らんぺいものぐるい)
三代目尾上左近 初舞台、劇中にて口上相勤め申し候
奴蘭平実は伴義雄:松緑/女房おりく実は音人妻明石:時蔵/水無瀬御前:菊之助/一子繁蔵:初舞台左近/壬生与茂作実は大江音人:團蔵/在原行平:菊五郎

蘭平物狂は初見。大名跡を継ぎそうな子の初舞台は見たことがなく、俳優祭で幡随院長兵衛の芝居が話題だった藤間大河くんの初お目見えだけに、期待も高まる。
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左近は子役臭みたいなものがなく、芝居も口跡も体の動きも年齢に応じた素直な伸びやかさがある。見得も間のとりかたも正確。体に染み込ませるほどたくさん稽古したのだろうなあ。まだ8歳だけど、今後が非常に楽しみ。

父親の松緑は、いろんな場面で顔がきちんと決まる。花道で息子を見送ったり、立ち回りの危ない場面で見得を切るときでも、型どおりの顔が作れることに感心。ただ、物狂いの踊りは今一つぴんと来なかった。

噂通り立ち回りは派手。蘭平を捕らえようと四天がはしごをもって攻めかかる。とんぼを切ったり、屋根の上でジャンプしたり、逆さで開脚したり。すごかったのは、花道で梯子のてっぺんに捕り手が上り、さらに蘭平も上るところ。あと、蘭平の石灯篭からのジャンプ!スカートみたいな青いひらひらした衣装で軽やかさも見せつけられる。

でもそれ以上に蘭平の子を思う親心が印象的な舞台だった。親子の情愛をこれほどまでに感じられたのは、実の親子ならでは。繁蔵が罪人探しに向かうとき、心配げに見送る蘭平の表情、立ち回りで親にお縄をかけるのを躊躇う繁蔵。力強い蘭平が、最後には繁蔵に捕えられてしまうこの演目は、襲名にぴったり。

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二、新歌舞伎十八番の内 素襖落(すおうおとし)
太郎冠者:幸四郎/太刀持鈍太郎:彌十郎/次郎冠者:亀寿/三郎吾:錦吾/姫御寮:高麗蔵/大名某:左團次

素襖とは、直垂(ひたたれ)の一種。裏をつけない布製で、菊綴(きくとじ)や胸ひもに革を用いるとgoo辞書にある。着物の種類の一つってこと?しかし、残念ながら舟を漕いでしまい、記憶があやふや。ふっと意識が戻った感じでは、一人ひとりの役者さんの踊り堪能できる演目だった、気がする。幸四郎、彌十郎、左團次さん、いい味を出してたように思うのだが。皆さんごめんなさい。

三、名月八幡祭(めいげつはちまんまつり)   
縮屋新助:吉右衛門/芸者美代吉:芝雀/船頭三次:錦之助/魚惣女房お竹:歌女之丞/藤岡慶十郎:又五郎/魚惣:歌六

今月一番楽しみにしてた演目。女に人生を狂わされた男が狂う話。でも美代吉、そんなにひどい女じゃない。「あんたにお金ができたら一緒になろう」って言う女は現代にもよくいそうだし、いらなくなったお金はちゃんと返している。錦之助の三次だって、調子のイイ遊び人にすぎない。だから、この話の肝は、不実な美代吉より、新助の異常性。そして、期待通り吉右衛門 の新助はきっちり物狂いになってた。

美代吉の家。百両の金を用意すると約束する美代吉にべたぼれの新助。実直で真面目なのだが、騙されやい田舎者。その愚鈍さが前面に出て、見ていていらっとする。美代吉に金はいらなくなったと告げられ悲嘆にくれる図。吉右衛門に大きい印象はなかったのだが、体を縮こませると、まるででくの坊、うどの大木。そのでかい図体を丸めて泣くのがなんとも哀れ。でも滑稽。

素直で一途で根が真面目な人ほど、裏切られると心の傷は大きい。現実を受け入れきれず、深い絶望へ。もはや気狂いになる準備は万端。

大詰。新助が道行く女性の腕を(たぶん美代吉と間違えて)捕まえる場面に身震い。美代吉はなぜ自分が切られなければならないのか、最期まで理解できなかったろう。血で赤く染められていく障子をなぜか美しいと感じ、そしてまさかのお神輿。若衆たちが新助を「わっしょいわっしょい」と担ぎ上げ花道を運んでいくエンディング、なんてシュール!3階席から見えたのは、満面の笑み、恍惚の表情で叫ぶ新助。気を狂わせんばかりの名月がぽっかり浮かぶ。

とても良かったです。吉右衛門だけじゃなく、どの役者さんもきっちりお仕事してました。一番の江戸っ子は還暦の赤い衣裳に身を包んだ魚惣の歌六さん。藤岡慶十郎の又五郎さん、どんな役でも印象に残る。もう一度見たいのに叶わないのが悔しい。充実の六月歌舞伎座。

22:32 鑑賞記録 | コメント(0) | トラックバック(0)
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