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七月歌舞伎座昼「正札附根元草摺」「夏祭浪花鑑」

2014/07/22
一、正札附根元草摺(しょうふだつきこんげんくさずり)
曽我五郎時致:市川右近/小林妹舞鶴:笑三郎

幕が開き聴こえてくる長唄囃子連中の演奏。中央から人形のように微動だにしない曽我五郎の右近と舞鶴の笑三郎が登場。歌舞伎を見に来た幸せを実感する瞬間。

荒事右近は五郎の利かん坊的雰囲気は少ないが、型が一つ一つ決まっていく安定感。舞鶴の笑三郎は、はじめて今回認識。写真では髪の毛がもさっとして女形のイメージが沸かずじまい。が、舞台に立つとどうしてどうして。鼻筋の通った綺麗なお顔。女だてらに魅せる所作は勇ましく、鬢にさした力紙が凛とした舞鶴を象徴。

五郎と舞鶴の華麗な見得。響き渡るツケ。二人が半身ずつ脱いで魅せる衣装の組合わせの妙。今日も歌舞伎は華やか。

二、通し狂言 夏祭浪花鑑(なつまつりなにわかがみ)
お鯛茶屋、住吉鳥居前、三婦内、長町裏、団七内、同屋根上
団七九郎兵衛:海老蔵/三河屋義平次:中車/一寸徳兵衛:猿弥/琴浦:尾上右近/お梶:吉弥/玉島磯之丞:門之助/おつぎ:右之助/堤藤内:家橘/釣舟三婦:左團次/お辰:玉三郎

昼の部の目玉、「夏祭浪花鑑」の通し狂言!一幕物だけ見るのが当たり前という感覚になってはいるが、通しの面白さは捨てがたい。

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主役級以外の方のお芝居が良い。お梶の吉弥さんは口跡が立派で抜群の安定感。めで鯛茶屋の宣伝がお茶目。磯之丞の門之助さんはちょっと艶かしい坊ちゃん。俳優名鑑の上品な顔立ちとは違った印象。おつぎの右之助さんは老け役の女形が本当に似合う。庶民でも漂う品格。三婦の左團次さんの「腹が立っても南無阿弥陀仏」の場面はおかしく、白旗こと褌を団七に貸し多少下世話になりつつ、それでもお辰が磯之丞を連れて行くことを威厳をみせ断る。右近の琴浦。磯之丞としけこむあたり、間が物足りないけど最近ますますお綺麗。

そして一寸徳兵衛の猿弥さん!澤瀉屋の舞台はあまり見ておらず、道化役以外印象になかったが、今回は気がつくと目で追ってしまう。住吉鳥居先の場で、辻札を手に団七と二人で踊る姿に惚れ惚れ。情に厚く団七一家を思いやる心根。

きっちり仕事をする役者さんたちの芝居をベースに、そびえ立つ海老蔵、玉三郎、中車が演ずる3つのキャラクター。

玉三郎のお辰。夏の着物(紗?)がとてもお似合い。多少首筋が気になったけど、十分綺麗。「女が立たぬ」と妻としての役目を果たすべく鉄灸を顔に当てた直後「この顔でも思案の外という字の色気がござんすかえ」と見得を切る強さ。お辰のキャラクターが芝居に上手い具合に溶け合う。

問題は海老蔵と中車。

まず団七の海老蔵。ご赦免になる場面ではもさーい格好。あご髭って、もさく見える。足をボリボリ掻き、もささ倍増。そして着替えた後は、いつもの海老蔵。二枚目ですなあ。颯爽とした身のこなし。赤ふんさえカッコイイ。しかしなんか軽い。立ち回りまでふわふわっと軽く見える。こういう役なのか。

次に義平次の中車。歌舞伎でのお芝居は初見。中車のキャラ作りがすごい。子泣き爺だ。背を曲げられるだけ曲げ、化粧は顔を土色に塗り汚らしく、話し方はどこまでも卑しい。業突く張りで因業なキャラクターを上手くデフォルメ。研究熱心で凝り性な中車の人柄。しかし凝りすぎ。まるでコメディ。この義平次、ありなのだとは思う。が、好みは分かれるはず。

長屋裏で、団七が義平次を殺す場面。ふわふわ団七とコミカル義平次。この場面って歌舞伎屈指の殺しの場面らしいのだが、切迫感が薄い。団七は義父を殺すまで追いつめられていない。TVで見た勘三郎(当時勘九郎)と笹野高史の切迫感とは比べようもない。

大阪弁はみんながみんな中途半端。玉三郎は大阪弁はともかく大阪の風情は感じられた。中車もうまい。海老蔵の大阪弁はとってつけた感が。でもこれはしょうがない。それ以上に溶け合わない印象が気になった。良席で見れば違うのかもしれない。

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23:57 鑑賞記録 | コメント(0) | トラックバック(0)
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