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7月歌舞伎座夜の部「悪太郎」「修禅寺物語」「天守物語」

2014/07/29
7月27日(日)。楽日間近の歌舞伎座夜の部です。

一、猿翁十種の内 悪太郎(あくたろう)
悪太郎:市川右近/修行者智蓮坊:猿弥/太郎冠者:弘太郎/伯父安木松之丞:亀鶴

安定感ある悪太郎の右近の酩酊状態での踊り。振り回す長刀が智蓮坊の猿弥さんにぶつかりそうでヒヤリ。互いの呼吸がばっちりだからこその立ち回り。さすが澤瀉屋さん。弘太郎の太郎冠者と亀鶴の松之丞。横に並んで同じ踊り。弘太郎さんは背が低い分、より型がきっちりして見えて気持ちが良い。

ラストは4人揃って、まさかの南無阿弥陀仏ぐるぐるダンス。南無阿弥陀仏で踊れるのかと口をあんぐり。

二、修禅寺物語
夜叉王:中車/源頼家:月乃助/修禅寺の僧:寿猿/妹娘楓:春猿/姉娘桂:笑三郎/春彦:亀鶴

夜叉王の実直な性格は中車のニン。口跡もなかなか。間のとり方にも良いと思う。最後の場面。瀕死の娘桂の死を悲しむより、頼家が死ぬ運命を予言した面を彫ったことを喜び、さらに桂の表情を制作の手本とすべく写す。中1の古文の教科書で、火事で燃える妻、娘を見て、ようやく真の仏が彫れると喜ぶ絵仏師の話を思い出した。己の創作のため家族を犠牲にするキャラは好きだけど、なんか芝居の最後に突然狂喜の世界に陥る印象。もっと物語全般でキャラ立ちしてほしい。けど、原作通りなんだよね。

桂は上昇思考が強いだけのお嬢様かと思いきやそうではなく、自分の帰属に違和感を感じ、本来帰属すべき公家の世界に戻り、そこで自分の役目を全う。短い期間でも将軍家に仕え若狭という名を給わったのだから死んでも本望。生まれながらの公家だからこその気位の高さ。

夜叉王と桂のキャラクターに惹かれつつ、桂の笑三郎と楓の春猿姉妹の柔らかい色の着物が印象に残った物語。

左は頼家が着用して血が滲んだ面。右は夜叉王が納得した面を作れず打ち割った面。
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三、天守物語
天守夫人富姫:玉三郎/姫川図書之助:海老蔵/舌長姥:門之助/薄:吉弥/亀姫:尾上右近/朱の盤坊:猿弥/山隅九平:市川右近/小田原修理:中車/近江之丞桃六:我當

下座音楽を拝し、BGMを使用。後ろに雲等浮かび色彩鮮やか。色とりどりの世界が浮かぶ泉鏡花の「天守物語」を視覚化するとこうなるんだと素直に感心。

前半。玉三郎の富姫様の、既成概念にとらわれない自由なキャラ。生まれてこの方お綺麗と言われ続けているのだろう。嫌味のない自信が羨ましい。赤い振袖を着た尾上右近の亀姫は、玉三郎と似たキャラ。仲悪そうで実は親友のはず。二人の着物の競演が見事。舌長姥の門之助は昼の部とのギャップに驚く。ベロがすごい。朱の盤坊の猿弥、女房(?)との踊りがかっこいい。

後半。図書之助の海老蔵登場以降は、富姫と図書之助のラブストーリーを堪能。図書之助の顔を灯りで照らし「帰したくなくなった」と富姫。この物語、結局は美男美女のラブストーリー。二人のロマンスを堪能。

最後の場面で近江之丞桃六の我當さん登場。天地を包み込む口跡で、まるで天に登ったような心地に。さすがです。

歌舞伎座では珍しくカーテンコール。7月最後の日曜日ということもあるのか、客席からは割れんばかりの拍手が。玉三郎さんにはカーテンコールが似合う。

玉三郎と海老蔵は本当にはまり役だった。玉三郎は図書之助に一目ぼれするような自由さがニン。この役をやるために歌舞伎役者をやってるのでは(言いすぎか)。海老蔵は、昨年の陰陽師でも感じたことだが、歌舞伎要素がやや少ない芝居でこそ圧倒的な輝きを放つ。ファルセットも気にならない。そしてそれ以上に二人の相性がいいのだろう。今回の二人の富姫と図書之助をみてしまった今、他の役者さんの天守物語は考えられない。

あと玉三郎のファッションショー。全部で3着くらい?美男美女の美しさと合わせて目の保養に。
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