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九月歌舞伎座秀山祭「菊畑」「法界坊」

2014/09/18
「孫の和史君のことを「『じゅふたーん』と呼んでいます。『かずふみ』が『かじゅふみ』『じゅふみ』『じゅふちゃん』『じゅふたーん』に変格しましてね。フランス語も入れました」というエピソードがかわいい吉右衛門様。待ちに待った秀山祭です。

一、鬼一法眼三略巻(きいちほうげんさんりゃくのまき) 「菊畑」
吉岡鬼一法眼:歌六/虎蔵実は源牛若丸:染五郎/皆鶴姫:米吉/腰元白菊:歌女之丞/笠原湛海::歌昇/智恵内実は吉岡鬼三太:松緑

演目名から一面の菊畑のセットを思い浮かべてたら、菊は列になって植えてあるだけで拍子抜け。奥庭にたくさん植えてあるのを「畑」というらしい。

一番印象に残ったのは鬼一の歌六さん。ながーい銀の葉巻(?)を吸う様がダンディー。小物の扱い方が上手くて惚れ惚れ。

次に智恵内の松緑。髭の手入れをしながら登場。髭って安全かみそりで剃るものと思い込んでいるが、昔は毛抜きで一本一本抜いていた?ところで松緑といえば奴。「ねーい」は似合うし、がはは笑いは愛嬌あるし。愚直で腰が低い奴の役が意外にも似合ってしまう。虎蔵を打たんと苦悩する場面での所作も決まってた。

九月ポスターより。
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対する虎蔵の染五郎。相変わらずはかなげで、もう40くらいだろうに前髪が似合ってしまう。ただ、本当は義経なのに主君らしさが感じられない。不安で自信なさげ。義太夫(?)に合わせて松緑と語る場面もなんか重い。本当に自信がないのか、そうみえないだけか、そういう役柄なのか、私の見立てが間違いなのか。

皆鶴姫の米吉は、可憐なだけじゃなく、現代的で好きな人にはまっすぐ自己主張。虎蔵を打つのを止めるときにあげる声が印象的。湛海の歌昇には巡業の成果あり。ただ年齢的に早すぎるお役かも。衣装と鬘が浮いてる。歌女之丞さんの腰元、3階席から花道が見えず・・・。

一人ひとりに見せ場があって顔見世みたいな舞台でした。

二、隅田川続俤(すみだがわごにちのおもかげ)「法界坊」
聖天町法界坊:吉右衛門/おくみ:芝雀/手代要助:錦之助/野分姫 種之助(1日~13日)・児太郎(14日~25日)/五百平:隼人/丁稚長太:玉太郎/大阪屋源右衛門:橘三郎/代官牛島大蔵:由次郎/おらく:秀太郎/道具屋甚三:仁左衛門

吉右衛門の法界坊は、最初はそれなりにお坊さんとして頑張ろうとしたけど、どうにもなじめず、道楽に手を染めているうちに生臭坊主になってしまった坊さん。世間とうまくやっていくことをあきらめた分、人間くさい。少し重くも感じたが、こういう法界坊なんだと思う。一軸を盗んだ後、ひらひらっと一回転した後、両手で投げキッスしたり、花道でかっぽれを踊ったり愛嬌十分。

そして甚三の仁左衛門様。きっちりした二枚目で嬉しい事この上ない。法界坊に向かって腕を振り上げる所作は完璧。額に血がつくと色っぽさ倍増。破れた傘さえ、甚三の色気を引き立てる小道具。

花道から登場するおらくの秀太郎とおくみの芝雀は史上最強の母娘。そういう役ではないのだが花道から登場したときのインパクトが大きくて。おくみは芝雀さん得意の一途な女性で超安定。要助の錦之助も、これまたお得意の線が細くて女にもてる二枚目の役。ちょっと内向きでドジなところが母性本能をくすぐる。野分姫の児太郎は、透明感があって中性的で、そこがかえって姫っぽい。永楽屋番頭長九郎の中村吉之助さんがテンポ良くてお芝居を締めてた。橘三郎さんの源右衛門、要助、法界坊。私なら断然源右衛門派です。

仁左衛門と吉右衛門の立ち回りは本当にご馳走でした。もう見納めなのか。

写真は実際に舞台で使用されている掛軸、奉加帳、数珠、冷飯草履。
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浄瑠璃「双面水照月」
法界坊の霊・野分姫の霊:吉右衛門/渡し守おしづ:又五郎/手代要助実は松若丸:錦之助/おくみ:芝雀

隅田川に桜がたなびく美術装置が綺麗。舞台が広い歌舞伎座ならでは。

渡し守おしづはなんと又五郎さん。女形が想像出来なかったのだが、端整な顔立ちで白塗りがとても似合う。品良く舟を漕ぐ身のこなしに見とれた。

そこに登場する要助の錦之助とおくみの芝雀。隅田川前、黒地に裾に淡い色の入った着物を着て葱の入った篭を提げ花道で舞う二人はとても穏やか。どうやってここから霊登場につなげるのか不安に思うほど。ちなみに葱を「しのぶ」と呼んでいた。スイカズラのことを指すらしい。

雰囲気がおどろおどろしくなりすっぽんから吉右衛門登場。法界坊と野分姫、両方の合体霊ということで女形。要助とおくみのペアルックを微笑ましくみていたら、吉右衛門まで同じ衣装でペアルック台無し_笑。吉右衛門の女形、あまり期待していなかったのだが、花道でみた所作、着物の扱いはさすが。そして迫力。

甲高い声はどこから聞こえてくるのかと思いきや、後見で児太郎がしゃべってるんだ。白塗りの後見って初めてみた。

霊が本性を顕してからの吉右衛門が圧巻。おくみをくるくる回しながら、吉右衛門が舞台・客席に放つのは法界坊の悪どさと野分姫の一途な思い、そして二人のこの世に対する未練と執念。すさまじい怨念が渦巻いていた。

あの渦の流れにも一度身を置きたい。リピできるか?

01:20 鑑賞記録 | コメント(0) | トラックバック(0)
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