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十一月吉例顔見世大歌舞伎「井伊大老」

2014/11/14
11月は吉例顔見世大歌舞伎。初世松本白鸚さんの三十三回忌追善公演です。昼の部夜の部ともに千秋楽に行く予定だけど、その前に昼の部「井伊大老」をちょい幕見。

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「井伊大老」は2つ目の演目。11時15分に切符発売開始のところ、10時35分に行列開始。ちょうど最初の演目の切符発売開始時間。私の前に一人だけ並んでいた。手に入れた切符は24番。で、お気に入り2列目ど真ん中確保。

井伊大老 井伊大老邸の奥書院より 桜田門外まで
井伊大老:吉右衛門/お静の方:芝雀/昌子の方:菊之助/薩摩浪士 有村次左衛門:歌昇/水戸藩士 斎藤監物:種之助/水戸藩士 佐野竹之介:隼人/老女雲の井:歌女之丞/中泉右京:桂三/水無部六臣:錦之助/長野主膳:又五郎/仙英禅師:歌六

序幕。吉右衛門の裃が似合うこと!もう井伊大老にしか見えない。あまりにもしっくりしすぎているのと、台詞の調子や内容が多分に口語的なので、テレビ時代劇の舞台版を見に来た気分。

菊之助の正妻昌子の方は心が広い。というか広すぎ。側室の生んだ子を心配して千駄ヶ谷まで様子を見に行くなんて。又五郎さんの長野主膳は忠誠心ある折り目正しい武士。敢闘賞は水無部六臣の錦之助さん。永遠の二枚目なのに、今日の芝居では、無精ひげで身体を壊しまくり。身体も心も衣装もボロボロ。そんな状態で国をどうにかしようと悶え苦しみ直弼に訴える様が痛ましい。あ、でもちょっと学生運動っぽい。

第二幕。側室お静の方の娘、鶴姫が亡くなってから四度目の月命日ということで、序幕とは違い落ち着いた雰囲気。やきもち焼きの芝雀さんのお静の方。直弼に7日も会ってないと70日も会ってない気がするって笑。ちょっと我慢しなきゃ。でもこういうお静の方の素直さ、素朴さに直弼は惹かれるのだろう。桃色がかった着物が可愛い。お顔も頬紅が淡い桃色。

歌六さんの仙英禅師。化粧は沼津の平作と似ているし、平作同様ヨボヨボしているのに、全くの別人にしか見えない。やっぱり歌六さん上手いなあ。直弼の書いた屏風の字をみて、直弼について予言をするのだけれど、実際予言できそうな仙人のよう。頭脳明晰でもある。だけどお静の方が何でも話したくなるような優しさ、人当たりのよさも兼ね備えていて。歌女之丞さんの雲の井は世話焼き老女。サクッと正妻の事を言うあたり、お静の方としょっちゅう喧嘩してそう。

禅師が帰ったあと直弼登場。お雛様も登場。せっかく飾ったのなら禅師にも見せてあげればよいのにというのは置いといて、雛壇に敷く赤い布(緋毛氈=ひもうせん)が舞台を一気に穏やかな雰囲気にしてくれる。幕見席から最上段の女雛、男雛は見えなかったけど、一番大切な昔びなは見えた。そして庭に咲く桃の花に雪が舞い散る。本当ならどんなに美しいだろう。

舞台が暗くなってからが見せ場。実は吉右衛門様の台詞はここまで飛びまくり。でも、ここから先は見せてくれます。一つ一つの台詞総てが聞きどころ。信念を貫き通すことに苦悩する直弼。「生まれ変わっても大老だけにはなるまい」という言葉が耳に残る。

そして直弼お静の方二人の夫婦愛(側室だけど)。妾は嫌だけど、この大老の妾ならなってもいい(←アホ)。ただ、菊之助の正妻があまりに良い人なので、直弼が側室とばかりラブラブすぎると、ちょっと正妻が可愛そう。

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播磨屋好きとして、見てよかった演目。予想通り、井伊直弼という役は吉右衛門にとても似合う。政治的使命を背負うにふさわしい器の大きさ、厳しさ、そして情愛の豊かさ。私が大好きなタイプの吉右衛門様の役柄です。

ただ、やっぱり長唄か義太夫がないと物足りない。あと、今日は高校生が団体で見に来ていた。でも、昼の部の井伊直弼は新作すぎるし、熊谷陣屋は寝てしまう心配があるし、高校生の心をつかむには、夜の部(鈴ヶ森、勧進帳、すし屋)の方が良かったんじゃないかと。

14:04 鑑賞記録 | コメント(0) | トラックバック(0)
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