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国立劇場 通し狂言「伽羅先代萩」

2014/11/20
国立劇場にて「通し狂言 伽羅先代萩」。11月12日に行きそれで見納めのはずだった。が、家族が私以上に感銘を受けており、それが理解できなかったのが悔しくて19日にリピ。1回目は1階前から3列目。2回目は2階席6列目。

藤十郎:乳人政岡(御殿)/翫雀:八汐(仁木弾正の妹)/扇雀:乳人政岡(竹の間)/橋之助:仁木弾正/孝太郎:沖の井(<田村右京の妻)/松江:絹川谷蔵/亀鶴:松島(渡辺主水の妻)/新悟:侍女澄の江/国生:渡辺民部/虎之介:山中鹿之介/橘太郎:鳶の嘉藤太/松之助:黒沢官蔵/亀蔵:大江鬼貫/市蔵:山名宗全/秀調:小槙(大場道益の妻)/彌十郎:荒獅子男之助、渡辺外記左衛門/東蔵:栄御前(梶原平三景時の妻)/梅玉:足利左金吾頼兼、細川勝元

序幕 花水橋の場
あまり本筋とは関係のない場のようだが、立廻りもあり結構楽しい。

梅玉さんの頼兼。身のこなしがたっぷりしていて品があるけど、実はクールなお人柄。立廻りのときの清元?が似合っていた。敵に襲われても余裕しゃくしゃく。敵さんは思わず頼兼にマッサージ。そんなお殿様を助ける絹川谷蔵は松江さん。力士の化粧がすごく映えてた!若々しい力士の立廻りと見得。道筋を教えるとき、敵を黒塀、地蔵、石橋に見立てるのは、夏祭浪花鑑と全く一緒。「豆腐屋の三婦にお尋ねなさりませ」は夏祭の三婦とかけているのか。

最後、頼兼が詠いながら花道に引っ込もうとすると、谷蔵がお忍びなのにとたしなめる。のんきなお殿様。

二幕目 足利家竹の間の場
女ばかり登場する場だが乳母政岡の忠義を果たさんとする気持ちは武士と変わりない。女性版寺子屋もしくは熊谷陣屋?

扇雀さんの乳人政岡。若君鶴千代を守らんとする強い意志。芝居中ずっと緊迫感を保ち鶴千代を見守り続ける。舞台袖に移動しても若君を見守る強いまなざし。瞬きの回数はきっと最小限。一瞬たりとも気を抜かない集中力。それでいて鶴千代を気づかうべき場面では、表情が細やかに変わる。ちょっと怖いけどインパクト大の政岡。

対する八汐は翫雀さん。お化粧が少し地味な印象。あと体形のせいかおばちゃん風味。政岡に罪をなすりつけ下がらせ若君に近づく場面とか、関西のちょっといけずなゴマすりお局。政岡に対抗する八汐としては、少々弱い気が。

孝太郎の沖の井。八汐に「また、こなさんの理屈かいのう」と嫌味を言われていたが、孝太郎は理屈っぽい役が似合う。理詰めで八汐をこてんぱんに攻めるのが上手い。最後、八汐に願書を見せびらかして颯爽と去る。亀鶴の松島。女形を初めてみたが意外と似合う。秀調さんの小槙。こちらも初めてみる女形。場の雰囲気にしっくり合う女医さん。腰元さんたち。悪役嘉藤太を締め上げたり大活躍。その中でも芝のぶさんは可愛くてついつい目がいく。その悪役鳶の嘉藤太は橘太郎さん。聞いていて気持ちの良い立派な口跡と身のこなし。あまりにあっさり腰元に捕らえられてしまいちょっと笑った。

そして特筆すべきは子役さんたち。2回見たが鶴千代はおそらく別々の子役さん。2人とも本当に上手。子役さんたちがいてこその先代萩。

最後、八汐と嘉藤太が通し狂言らしく次の場に続く悪巧み。幕。

enomi20141119-01.jpg

三幕目 足利家 奥殿の場
藤十郎さんの政岡!リピしたのも藤十郎さんの政岡をもう一度見たかったから。結果、2回見て大正解。2回目は藤十郎さんの波長、私の波長、私以外の観客の波長が上手い具合に合ったのかも。あと、2階席の方が俯瞰的に舞台を見られるので、政岡の情が伝播しやすかったのかも。

藤十郎さんの政岡は扇雀さんほど張り詰めた表情ではない。でも、登場したとたん鶴千代への思いが溢れんばかり。空腹の鶴千代、千松を優しくいたわる政岡、千松が八汐の手にかかる場面で手を握り締め体を振るわせつつ、それを見せないように必死に耐える政岡、あと、栄御前が去った事を確認した後、乳母の立場から母親の立場に戻るまでの長い「間」。どれも心に残る。

しかし一番心に残ったのは、政岡の「でかしゃった・・・」という長い台詞の後の義太夫(竹本谷太夫さん、鶴澤泰二郎さん)との掛け合い。「せめて人らしい者の手に掛かっても死ぬことか、人もあろうに弾正の妹づれの刃に掛かり」という台詞。神がかっていた。藤十郎さんに宿る本物の政岡の叫び。3人のコンビネーションが絶妙。こんな掛け合い、二度と聞けないかも。藤十郎さんや芝翫さん、雀右衛門さんのお芝居を見ていて思うのは、ある年齢を過ぎると、役を演じるというより、役の魂そのものになってしまう役者さんがいるという事。この日の藤十郎さんの政岡にそれを感じました。3人に感謝。

東蔵さんの栄御前、老獪な老女。千松が殺される場面で、政岡を扇子の陰から目を細めじっと観察する様子が怜悧狡猾。花道引っ込みでの悠然とした身のこなしが悪役ながらかっこいい。翫雀さんの八汐。千松を殺す表情は八汐らしく悪辣。八汐はこの場面が一番見応えあり。子役さんたち、この場でも大活躍。鶴千代が子供らしくお菓子に手を出そうとするのが可愛い。お菓子を食べて苦しむ千松が舞台を右往左往して苦しむ様子が哀れ。

とにかく藤十郎さんが圧巻の奥殿の場。言うことないです。

同  床下の場
彌十郎さんの荒獅子男之助。新歌舞伎座杮落としの吉右衛門版ほどの瞬発力はないが、荒事で、奥殿の場の空気を一変させるのはさすが。これぞ歌舞伎。

そして橋之助さんの仁木弾正。すっぽんから登場。裃を上へ下へスリスリしてたのはどういう意味だろう。大胆不敵な表情で花道を歩く。雲の上を妖術で歩くという設定。妖術感はあまり感じなかったけど、雲の上をふわふわ歩いているのは分かった。

大 詰 問註所 対決の場
この場はなんと言っても、橋之助の仁木弾正。印形をごまかすべく髪の毛を抜く場面。それまでしれっと自分の無実を訴えていたのに、ここで十分な間を取ったあと、目を細め悪辣な本性を出し、息を吹きかけ印を押す。色気もあってゾクっとした。あの瞬間の表情が目に焼き付いた。

梅玉さんの細川勝元。戯曲を読んだ時点で、台詞が梅玉さんの声で再生された。それくらいのはまり役。お奉行様っぽい青い裃が後ろの屏風とともによく似合う。優しく理性的で頭が良い。外記左衛門を貶めているように見せかけて、実は仁木弾正を窮地に落として入れているのが面白い。

市蔵さんの山名宗全は、公平に判断しているように見せかけつつ、実は好みの相手に有利になるよう理を整え采配する意地悪なお奉行様。渡辺外記左衛門は彌十郎さんの善人Ver.。自分の主張が認められず絶望しかけていたところを細川勝元に助けられる。安堵する外記左衛門を見て私も安堵。

外記左衛門の味方は、国生の渡辺民部、虎之介の山中鹿之介、梅丸の笹野才蔵。自分の台詞がないとき、一番ずっと役になりきっていたのは梅丸。座る姿勢、表情とも抜群。手の位置とかきれいで見とれる。虎之介くんも頑張ってた。国生が一番素に戻っていた。でも台詞回しは良かった。亀蔵さんの大江鬼貫、台詞が少ない!あの立派な口跡がほとんど聞けず、亀蔵不足だわ。そして右源太の橋吾さん。こちらは台詞が多くてうれしい。

詰所 刃傷の場
殺された橋之助の仁木弾正が高く持ち上げられ運ばれていく場面が一番印象に残る。お奉行の家来たちが腕を高くのばして運び、上の欄干にぶつかるあたりでは腕を低く曲げ、そこを過ぎるとまた伸ばす。なぜこういう運び方なのか。でも、こういう馬鹿馬鹿しさが割と好き。

外記左衛門さんが仁木弾正をやっつけると聞いていたので、彌十郎さんの立廻りが見られると思って楽しみにしていたら、彌十郎さん最後のとどめを刺すだけだった。すごく必死でちょっと痛々しい。最後に「東南西北の敵を易々亡ぼせり」と詠ってたけど、東西南北じゃないのね。

最後に梅玉さんの細川勝元がめでたいと納めて幕。あっさり刃傷の場でした。もうちょっと仁木弾正のインパクトがほしかった。

国立劇場をリピする余裕があれば明治座で澤瀉屋さんの芝居見物もできるのに、なぜか国立に行ってしまう。通し狂言は結構長くて、途中で早く終わらないかと思ったりもするんだけど。噛めば噛むほど味の出るスルメのようなこってり感が好きなのかも。

08:35 鑑賞記録 | コメント(0) | トラックバック(0)
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