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吉例顔見世大歌舞伎夜の部「御存鈴ヶ森」「勧進帳」「すし屋」

2014/11/27
昼の部に引き続き、夜の部を観劇。4階一幕見席をみると、いす席は当然完売。立ち見も2列。きっと染五郎弁慶の効果。

一、御存鈴ヶ森
幡随院長兵衛:松緑/東海の勘蔵:彦三郎/飛脚早助:権十郎/北海の熊六:團蔵/白井権八:菊之助

この演目、俳優祭のイメージが強すぎ。左團次さんの裸にエプロンが脳裏をよぎる・・・。権十郎さんの飛脚早助はお調子者。本当に職替えして雲助になってしまいそうないい加減さ。

菊之助の白井権八!前髪立の美少年白井権八は菊之助にぴったり。若さ儚さ不安定さゆえの美しさ。これを隠したい権八は、雲助たちに容赦がない。蒼く光る刀をすっと横に引き、闇夜で凄惨な場面を繰り広げる。その残酷な立ち廻りが、さらに権八の若さ儚さ不安定さ、そして美しさを際立たせる。

松緑の幡随院長兵衛。権八の不安定さを受け止める鷹揚な長兵衛であってほしい。この日の松緑の長兵衛はまだそこまでには至らないが、貫禄ある長兵衛の片鱗が見え隠れ。台詞回しもよく、今後に期待。

二、歌舞伎十八番の内 勧進帳
武蔵坊弁慶:染五郎/源義経:吉右衛門/亀井六郎:友右衛門/片岡八郎:高麗蔵/駿河次郎:宗之助/常陸坊海尊:錦吾/太刀持音若:金太郎/富樫左衛門:幸四郎

一幕見しているので、これで2度目。ほぼ10日ぶりだが、前回より進化していた。

弁慶の染五郎は、一つ一つのせりふ、所作は骨太になり、良い意味で滑らかに。弁慶が染五郎に日々なじんでいることの証。酒を豪快に飲む表情は叔父に似てた。
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そして幸四郎の富樫。前回関守としての厳しさを感じなかったが、今回は役目を果たす使命感全開。前回は私が幸四郎と波長が合わなかったのか、4階が遠すぎるのか。富樫が富樫らしくなり、弁慶が安宅の関を突破する意味が生まれる。山伏問答が緊迫感をもたらすものに。二人の口跡がテンポよく冴え渡る。前回の山伏問答は親子発表会のようだったが、今回は親子競演だからこその息の合った問答に。吉右衛門の義経と三人の天地人の見得も、全員の呼吸がうまく合ってた。

吉右衛門の義経、身体が大きいから所在の置き場所を見つけられない。不安いっぱいで所在なさげな義経だから、義経は弁慶を頼りにせずにいられない。そんな義経を染五郎の弁慶は命がけで守らずにいられない。太刀持金太郎くん、姿勢がすっきり伸びて嬉しい。25日間父祖父大叔父の奮闘を間近で見るのはどんな気持ちだろう。

花道での弁慶の去り際。客席の手拍子を上手い具合に納めて感心。新しい弁慶の誕生が改めて嬉しい。今回の勧進帳、25日間上り調子で毎日進化し、千穐楽は25日間でベストの勧進帳に上り詰めたはず。5年後、10年後の弁慶が楽しみです。

木挽町広場に展示されてた弁慶グッズ。頭巾、数珠、巻物、中啓。
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ところで幸四郎、吉右衛門、染五郎の3人で、弁慶義経富樫をシャッフルして色々な組み合わせでやってくれないだろうか。実現したら全パターン見に行くんだけどな。

三、義経千本桜 すし屋
いがみの権太:菊五郎/弥助実は三位中将維盛:時蔵/お里:梅枝/梶原の臣:亀寿/梶原の臣:萬太郎/梶原の臣:巳之助/梶原の臣:隼人/弥左衛門女房おくら:右之助/若葉の内侍:萬次郎/鮓屋弥左衛門:左團次/梶原平三景時:幸四郎

初物で興奮した後は、安定感抜群の菊五郎劇団。

菊五郎さんのいがみの権太は万全で文句なし。上方の話だと思うんだけど、菊五郎さんの権太は、愛嬌があって抜け目のない江戸っ子風味の権太。お母さんにお金をせびるあたり、ずるがしこいんだけど憎めなくて、好きな場面。あと、女房と息子が引っ張られていくときの辛さを堪える表情。本当は女房たちの方を見送りたいけど、堂々と見送れず胸の内で七転八倒。
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梅枝のお里、これまた抜群の安定感。ていうか、今安定感ある女形って実は梅枝なのではと思うほど。まだいろんな役を見ていないが、いつ見てもそつなくこなし、それなりに惹かれる。この年でここまで安定していると、先行き恐ろしい。瓜実顔(うりざねがお)を生かした名女形になることを希望。時蔵さん。色気はあるけど品もある弥助と維盛。若葉の内侍の萬次郎さん、ちょっと濃くてあくが強い。上品な維盛の奥方とはちょっと違う。幸四郎の梶原平三景時。幸四郎は黒が似合う。お侍らしい威厳十分。権太に褒美をとらせても、後味をすっきりさせないまま去っていくのは、引き渡されたのが権太の妻と息子と知っていたから。それが十分に伝わる梶原平三でした。

昼の部夜の部を一日で見た。少々しんどいのはともかく、途中でところどころ寝落ちしてしまうのがもったいない。ただ、千穐楽の独特の熱気を一日満喫するのも楽しくて。今後もたまに昼夜連続でみてしまうのだろか。

08:24 鑑賞記録 | コメント(0) | トラックバック(0)
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