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国立劇場「通し狂言伊賀越道中双六」

2014/12/27
平成26年歌舞伎座見納めは「伊賀越道中双六」の通し狂言です。この通し狂言、昨年も見たけど「岡崎」はなかったし、山城屋さん成駒屋さんとは一味違うものがみられると期待。12月20日と26日の2回観劇。

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唐木政右衛門:中村吉右衛門/山田幸兵衛:中村歌六/誉田大内記、奴助平:中村又五郎/和田志津馬:尾上菊之助/捕手頭稲垣半七郎:中村歌昇/石留武助:中村種之助/幸兵衛娘お袖:中村米吉/池添孫八:中村隼人/和田行家、夜回り時六:嵐橘三郎/桜田林左衛門:大谷桂三/沢井股五郎:中村錦之助/政右衛門女房お谷:中村芝雀/幸兵衛女房おつや:中村東蔵/

序幕 相州鎌倉 和田行家屋敷の場
敵討ちの発端となる和田行家が沢井股五郎に殺される場。

行家は橘三郎さん。勘当した娘を「犬」呼ばわりする厳しいお父さん。その妻柴垣は、中村京妙さん。娘を父にとりなす優しいお母さん。昔ながらの日本の家族像ここにあり。夫妻は青色の着物でペアルック(死語?)。娘お谷は芝雀。愛情いっぱいに育ったのに勘当され辛そう。

そしてこの芝居随一の悪役、錦之助の沢井股五郎登場。結構長いこと行家をのやり取りがあり、その間ずっとよからぬ事を考えているのが手に取るように分かる。なのに結構器の小さい奴で、殺す企みがあるにもかかわらず、正宗を預けるのを断られ、お谷を妻にしてくれと言って断られ、さらには人非人と言われ、「こんちくしょう」って感じでどんどん激高。行家との立ち回りも悪党のいやらしさが表れている。

お父さんが殺された後、息子志津馬こと菊之助登場。志津馬が花道で股五郎を追いかけ捕らえてしまえばある意味万事解決だったのでは?でも敵討ち制度に則らないといけないのだろう。

会場内では「伊賀」に関するグッズを販売。
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二幕目 大和郡山 誉田家城中の場
いざ決闘のとき、きこえる時計の音。唐木政右衛門は吉右衛門、対するは、桂三さんの桜田林左衛門。桂三さんは先月の井伊大老同様、小憎らしい役でご登場。ちょっと軽めでちょうど良い決闘で肩衣が破れていたけど、いつの間に?又五郎さんの誉田大内記(こんだだいないき)はゆったりとした台詞回しで漂う威厳。正統派二枚目の大岡裁き(ちょっと違うか)がかっこ良い。

大内記が政右衛門を成敗致すと挑んだとき、「三箇の大事」=「真剣白刃取り」、「神影の即信」、「神刀」で応戦した政右衛門。真剣白刃取りは聞き覚えがあったのでちょっとワクワク。この二人の闘い、政右衛門の強さを確認しただけと思っていたが、大内記が政右衛門から三箇の大事を「会得」し、「満足」する場面だった(@台本)。それだけ政右衛門が剣の達人ということを分からせる場面、ということ。でも20日の舞台では「真剣白刃取り」でどちらかが刀(?)を落っことしてちょっと緊張。

菊之助の志津馬も登場し、「弟」「兄上」とご挨拶。うーん、親子にしか見えない・・・。いざ敵討ち!って表情で花道を引っ込む二人。幕。

三幕目 三州藤川 新関の場
今一部のマニアの間でで熱狂的な人気を誇っているかもしれない米吉のお袖ちゃん登場。米吉ブログによると、黄色い着物は「黄八丈の中振袖」で鬘は「結綿」だそうです。茶店の娘役の衣装はこの柄が一番しっくりする。

志津馬に一目惚れするお袖ちゃん。手鏡で自分の顔を見直したり、野崎村のお光みたい。義太夫「顔は上気の初紅葉」の通り、ポワンとしている。そんなお袖ちゃんの気持ちを見透かす菊之助の志津馬。手をとり濃厚なラブシーンもしてあげて、さらにお袖ちゃんをポワンとさせる。もうすっかりお袖ちゃんは志津馬の思うまま。このお芝居、一週間おいて2回見たけど、お袖ちゃんのポワン度と、志津馬がお袖ちゃんを利用してやろうという策士度がアップ。一途なお袖ちゃんはかわいいし、悪い奴ほど素敵に見えるのよねって志津馬のこと。二人の恋模様の説得力が増していた。

そこに登場する邪魔者、又五郎さんの助平。2回目に見た舞台の方が助平のおかしみある奴を楽しめた。正面から見たせいか?軽くて、でも下品になりすぎない。「ちゃ」をこきまぜた台詞も楽しい。大きな動きもなく遠眼鏡を除いたまんま長い台詞で一人舞台の間を持たせるって結構大変なことだと思うが、全く長く感じさせないのがすごい。

無事助平から切手と書状を奪う事に成功した志津馬。

この後、股五郎の錦之助が紫色の駕籠にのり登場。降り積もる雪と紫の駕籠の風合いが意外にしっくりして綺麗だった。

同 裏手竹藪の場
捕手頭歌昇と助平の又五郎の親子だんまりが見所。又五郎さん大活躍。

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四幕目 三州岡崎山田幸兵衛住家の場
いよいよ話題の「岡崎」です。

一番印象的だったのは、東蔵さんの女房おつやが芝雀さんのお谷を介抱するため家に入れるのを、吉右衛門の政右衛門がとがめつつ、戸口の影で政右衛門が崩れ落ちそうになるほど苦しむ場面の後の、政右衛門、お谷、おつや、三人の織り成す空気。おつやの唄「来いと言うたて行かれる道か」が物哀しく、義太夫がその後を「道は四十五里波の上」と継ぎ、糸車がきーこきこと寂しくまわる。政右衛門はぐっと耐え、そしてすべてを振り切るように莨(たばこ)を刻む。外で雪はしんしんと降り積もり、赤子を連れて動くことができないお谷は、ついに力尽きて倒れる。お谷が戸口をまたぎに倒れる瞬間があまりに美しく、それだけに哀しかった。

そしてやっとの思いで政右衛門がお谷に薬を含ませる場面。こんなにも哀しいラブシーンがあるなんて。互いが互いを慈しみあい愛おしむ夫婦。

歌六さんの幸兵衛、東蔵さんのおつやと政右衛門との師弟関係もみどころ。政右衛門が「庄太郎」であることが判明してお互いに一気に数十年前の師弟関係に戻る。若かりし頃、まだ15歳位の庄太郎を、幸兵衛は師匠としてとても可愛がり面倒をみてやった事が瞬時に分かる。おつやも師匠の妻として、庄太郎にご飯を食べさせたり、いろいろ気を配ってやったのだろう。でも、股五郎の話が出ると、一気に敵討ちの顔になってしまう政右衛門。

政右衛門がわが子を手にかける場面。一度目に見たときは、赤子を殺す事は回避できたのでは、と思ったのだが、二度目に見たときは、それなりに説得された。政右衛門は「人質をとることが卑怯」だから殺したと言う。でも、このへんの台詞をいうときの政右衛門、全然自分で納得していない。手にかけたことを後悔しているし、身を切るほど辛そう。さらに、実は政右衛門も師匠の前で名を偽るという相当に卑怯な事をしているという自覚があるはず。つまりそれだけ追い詰められている心理状態であり、切羽詰っているということ。切羽詰って我が子を手にかけるということもさもありなん。それを見届けた師匠が真実を見抜く、というのもあり。また、最後、みんなでいざ、敵討ち!という場面、一度目にみたときは、子供が死んだのに、政右衛門まで笑顔というのが不自然に感じたが、二度目は悲愴な敵討ちを決意しているようにみえた。役者さんの表情が見える角度のせいか。

志津馬の菊之助は青い着物、米吉のお袖は黄色、二人は朱色の相合い傘をさして花道から登場。3つの色合いが綺麗。雪道をえっちらと越える二人。「温かなそもじの身で温めてもらう」だの、「あなたになぶられる」だのけっこうきわどい台詞を言ってる気がする。でもお袖は志津馬が初恋みたい。義太夫で「今日までも、殿御に惚れたということは知らぬ」って言ってるし。だから、軽めに感じた義太夫との掛け合いも正解かも。困った表情の志津馬。でも、目的達成のためにお袖ちゃんをコントロールする冷徹な空気も漂う。最後に尼姿になるお袖ちゃん。ますます野崎村のお光みたい。会った人ばかりなのに、とここはやや唐突な印象。

歌六さんの幸兵衛、政右衛門の偉大な師匠。悪人に一喝したり、最後には政右衛門の正体を見破ったり、とてつもない存在感で、優しさの中に凄みをみせる。この存在感の大きさは、政右衛門との相関関係。師匠と分かり甲斐甲斐しく師匠宅で使える政右衛門の青年らしさあってこその幸兵衛の大きさ。吉右衛門と歌六、この二人だからこその岡崎だったと思う。東蔵さんのおつや、火鉢の前で手ごしごしを合わせる仕草で場内の温度が下がった気がした。娘に志津馬を泊めちゃダメ、ととうとうと言って聞かせる優しい、娘の貞節をきちんと守ろうとするお母さん。

ところで幸兵衛の家に吊るしてあった莨(たばこ)、干しガレイかと思った。漁師のおうちか、などと勝手に納得してたら大間違い。

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大詰 伊賀上野 敵討の場
種之助、隼人がようやく登場。種之助、腰が入っていてかっこいい。でも背は低め?今後も立役をやってほしいのだが。そして、菊之助の志津馬と錦之助の股五郎の立ち回り。颯爽としていて迫力です。

ラスト、右手をあげ敵討ちを果たした政右衛門こと吉右衛門を無事に見届け。めでたし、めでたし。今年の歌舞伎も見納めです。

12月20日は吉右衛門のトークショーにも参加。吉右衛門様はややお疲れのご様子。吉右衛門のトークショーというより、司会の織田紘二さんのトークショーという感じ。でも素の吉右衛門様にお目にかかれて感激でした。

23:58 鑑賞記録 | コメント(0) | トラックバック(0)
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