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平成中村座「妹背山婦女庭訓」三笠山御殿「高坏」「幡随長兵衛」

2015/04/19
先週行った平成中村座昼の部に味をしめて、夜の部も立ち見を敢行。当日券切符発売15時30分のところ、13時15分着。昼の部休演で誰もおらず、夜の部も休演かと一瞬あせる。変な天気で、汗ばむほど暑くなったかと思いきや、雨がぱらついたり。大雨にはならなかったので、ちらしを地面に引いて座り、文庫本を読むこと2時間強。無事1番に切符を手に入れた。15時20分の時点で12人しか並んでおらず、席を選ばなければ、そんなに早く並ぶ必要はないかもしれない。手に入れた切符は立見席左5、花道真上。左6、7の方が、花道で上手を向く役者の顔が見られるかも、と思ったのは席に着いた後。

ちょいメモ備忘録20150417 -25

入り口の売店。
ちょいメモ備忘録20150417 -14

七緒八くんにお花。
ちょいメモ備忘録20150417 -24

一、妹背山婦女庭訓 三笠山御殿
杉酒屋娘お三輪:七之助/漁師鱶七実は金輪五郎今国:獅童/橘姫:児太郎/豆腐買娘お柳:波野七緒八/豆腐買おむら:勘九郎/烏帽子折求女実は藤原淡海:橋之助

初見の演目なので名作歌舞伎全集等で予習。女に対する「庭訓」ということだが、お三輪の行く末は悲惨だし、橘姫は求女が好きなら宝剣とってこいって命令されるし、女性の扱いがかわいそう過ぎて「これが庭訓かよ」と思いながら読んだ。

お三輪(七之助)が橋吾さんにいじめられる場面とか、ちょっと楽しみではあった。でも、こういう場面はやはり後味が悪い。そもそもテレビドラマでも、いじめの場面は見るのを回避するタイプ。歌舞伎なら面白く見られるかもと思ったがやっぱりダメ。それでも、お三輪がかわいそうに思えれば良かったのだが、七之助演ずるお三輪は、はすっぱな田舎の姉ちゃんという感じで品も可憐さもなく、あまりかわいそうと思えなかった。花道で情念の塊みたいになって髪を振り乱す瞬間はきれいだった。でも、その後鱶七(獅童)に刺されるときはすでに情念は不足。ただ、お三輪が舞台に降りて怒り狂っている場面では情念復活。だけど、初見の演目に対してこんな感想を持つのもなんだけど、お三輪のイメージと違う、気がする。お三輪自身がもっと古風な女の子だと思うし、もっと古風な情念の表し方があるのではないか。情念に燃えたお三輪は、昨年見た七之助の三人吉三のお嬢吉三を彷彿とさせた。お嬢吉三は、女装の美少年。うん、少年らしさが出てしまった印象。最後、苧環(おだまき)を求女に見立て頬ずりする表情は、愛しげで良かった。

獅童の鱶七=金輪五郎はお役目をきっちり果たす武士らしく立派。荒事もすっきり決まってた。橋之助の求女実は淡海、いかにも「庭訓」に登場する男性らしく素っ気ない態度。児太郎の橘姫も、いかにも「庭訓」に登場する女性らしく、好きな男性に文句も言わず忠実に尽くす。

この演目での一番の収穫は勘九郎の豆腐買おむら!勘九郎の女形を是非一度見たかったのだ。女形としての所作がとてもきれいで、ずっと見ていたかった。ちょっとした仕草にも品があって、芝翫さんを思い出す。「年増」とか踊ってほしいなあ。勘九郎、もっと女形やってほしい。でも、このおむら、立役から出すことが多いそうで、今後勘九郎が女形をやる布石になるわけではまったくない。七緒八くん、横で父ちゃんをぼーぜんと見ている、ように見えた。「中村屋」と渾身の思いを込めて叫んでた。かわいいね。

そのうち芝雀さんあたりでお三輪をやってほしい。いつか両花道を使う三段目「吉野川」も見てみたい。

ちょいメモ備忘録20150417 -20

二、高坏(たかつき)
次郎冠者:勘九郎/高足売:国生/太郎冠者:鶴松/大名某:亀蔵

テレビで一瞬「高坏」の映像が流れていて、タップ下駄、是非見たい!と勢いづいて夜の部に参上した次第。

もっとタップタップしていると思ったんだよねえ~。予想に反してタップは最後の6、7分のみ。タップ下駄もっと見たかった。でも歌舞伎だし、この位が限度かも。複雑。勘九郎、ほんわかした雰囲気の次郎冠者でほっこりする。高下駄ならぬタップ下駄も当然うまくて楽しかった。強いて言えばもっとタップ見たかった(←まだ言ってる)。

鶴松、太郎冠者ってことは勘九郎の次郎冠者より偉いのか、大丈夫?と思ったが、ちゃんと先輩風を吹かせていた。鶴松みたいにきれいな所作が出来る人が舞台に一人は必ずほしい。最後、フラメンコっぽくちょっと照れ気味にタップするところが初々しい。国生は相変わらず声が甲高い。一気にいろいろ吸収中の時期、なのだろう。引っ込む際の踊りのテンポが良かった。大名某の亀蔵さん、昼の部に続いて夜の部も老け役。この先、老け役増えそうですね。

長唄がとても良かった。黄色の裃が明るい舞台に映える。傳左衛門さんは髪を切ってすっきり。

最後、舞台後方が開き真っ白な夜桜と舞台が一体となる瞬間がうれしい。観客と役者もともに桜を愛でる思いで一体化。ごく自然に手拍子をとった自分にびっくり。

ちょいメモ備忘録20150417 -21

三、極付 幡随長兵衛 「公平法問諍」
幡随院長兵衛:橋之助/女房お時:七之助/出尻清兵衛:勘九郎/伊予守源頼義:新悟/御台柏の前:児太郎/子分極楽十三:国生/同 雷重五郎:宗生/
同 閻魔大助:宜生/同 笠森団六:鶴松/近藤登之助:亀蔵/唐犬権兵衛:獅童/水野十郎左衛門:彌十郎

中村座夜の部最後の演目は「幡随長兵衛」。昨年の團菊祭で海老蔵が演じたのを見たので、今回の橋之助は私にとって二人目の幡随長兵衛(鈴が森は除く)。

橋之助、幡随院長兵衛が十分似合っていた。ちゃんとした武士ほどの風格はないのに、町奴の頭領らしい、ほどよい大きさと凄みがある。先月の髪結新三で世話物の台詞は苦手なのかと思ったが、今月の幡随院長兵衛の口跡は丁寧で聞きやすく、それでいて威圧感もある。水野十郎左衛門(彌十郎)に殺される場面の断末魔の表情も迫力あり。七之助のお時は折り目正しく、着替えを手伝う手の動き一つとってもすっきりしており品がある。妹背山のお三輪と同一人物が演じているとは思えない。橋之助、七之助二人による長兵衛の着替えを女房お時が手伝う場面が良かった。着替えの手順を踏みつつ、長兵衛は敵中に向かう覚悟を一つ一つ固めていく。女房お時は夫の決意を汲み取りながら、同じように覚悟をする。見つめ合う二人、言葉がなくても互いの気持ちを汲み取っている。

ところでこのお芝居、「公平訪問諍」で最初に劇中劇がある。昼の部の「双蝶々曲輪日記」ではお相撲を観戦した気分になったが、この劇中劇では、観客が一緒に芝居を見物する感覚を味わえる。劇中劇の登場人物は新悟の源頼義、気品があるしっかりしたお侍。児太郎の柏の前は風格ある立派な奥方。二人とも将来有望です。その二人を含め、舞台上の役者全員が、花道で観客がもめる様子を、じっと見守っている様が面白い。ただ見ているだけなのに、役者たちが野次馬的気分で見ているのがちゃんと分かる。いてうの坂田公平はうりざね顔。ちゃんとした荒事だが、劇中劇の荒事らしく小さくまとまっているところがうまい。橋吾さんに名題披露と紹介されて嬉しそう。中村座でこういう形で披露でき、おめでたい。花道では舞台番の橋吾が座ってじーっとにらんでいる。最初舞台番だと分からず、なんで睨んでいるんだろうと思っていた。舞台番とは、「舞台の下手(しもて)に座って場内整理にあたった者」。橋吾さん、花道で芝居の邪魔をする人を止めたり、花道から客席に転げ落ちたり、夜の部も大活躍でした。

彌十郎さんの水野十郎左衛門は、長兵衛に敵対するだけの大きさのある旗本。その子分(?)の亀蔵さんと一緒に二階席から登場してびっくりした。亀蔵さん、やや小物感のある悪者が似合っている。昼の部、夜の部と見て、ようやく亀蔵さんのでっかい声が聞けて嬉しい。

幡随院長兵衛の子分は、父ちゃん橋之助とその息子たち、という印象しかない。弱っちい。橋之助の長男国生はそれなりに凄みを利かせていた。さすが19歳。でも、次男宗生の口跡はまだまだこれから。17歳ですから。ただ、結構色気のある化粧をほどこしており、流し目ができそう。三男宜生に至っては子供歌舞伎。ってまだ13歳か。三人とも親が健在だからこそできるお役。鶴松は型が決まってたと思うけど、いかんせん線が細く、これじゃあ水野にこてんぱんにやられても仕方ない。あまりの子分の情けなさを出尻清兵衛(勘九郎)が笑わせて、なんとか持たせていた感じ。もう一人名前を存じ上げない子分と、唐犬権兵衛(獅童)が凄みをきかせて、ほっとした。獅童が堂々とした一番子分らしい風格を醸し出していた。

芝居小屋の良さをフル活用したお芝居でした。劇中劇を観客が一緒に見物したり、花道で邪魔が入るのを中村座のお茶子さんが必死に押さえてたり、役者が客席から登場したり。歌舞伎座で同じ演出をすることはたぶん無理。芝居小屋では、役者が芝居の敷居を低くして盛り上げてくれる。

ちょいメモ備忘録20150417 -10

中村座、とても楽しかった。今となっては斬新な芝居小屋で古典の演目をきっちり見せてくれたのが嬉しい。次回、もしあればまた絶対行きます。

ちょいメモ備忘録20150417 -26
闇夜に浮かぶ勘三郎さんの鼠小僧。

12:56 鑑賞記録 | コメント(0) | トラックバック(0)
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