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五月吉田玉男襲名披露「五條橋」「野崎村」「一谷嫰軍記」

2015/05/28
吉田玉女さん改め吉田玉男襲名披露、千穐楽。
ちょいメモ備忘録20150525-01

「五條橋」
牛若丸:豊竹睦大夫/弁慶:豊竹始大夫  竹本小住大夫、竹本文字栄大夫、野澤喜一郎、豊澤龍爾、鶴澤清公、鶴澤清允
(人形役割)牛若:桐竹紋富臣/弁慶:吉田勘市

10分ほどの短い演目。この短い演目で若手に活躍の場を与える趣向みたいだ。弁慶と牛若丸の出会いの場面ですよ。この出会いが後の勧進帳につながるのですよ、たぶん。

牛若丸、緑の着物で薄い桜色の布をふわふわさせながらの立ち居振る舞いが凛々しい。対する弁慶、紅白の鉢巻を締め肉体派。弁慶というより、アリババみたいだ。

五條橋の上での二人の戦い、思っていたものとちょっと違った。牛若丸がひらりひらりと軽やかに舞い、弁慶が右往左往する図を想像していたのだが、牛若丸、弁慶に傘でずーんと突く、何度も突く、続いてや扇子でも突く。これでいいのかよく分からないけど、楽しかった。
ちょいメモ備忘録20150525-02

「新版歌祭文」 野崎村の段
中 豊竹芳穂大夫、鶴澤清馗/前 豊竹呂勢大夫、鶴澤清治/奥 竹本津駒大夫、鶴澤寛治、ツレ鶴澤寛太郎
(人形役割)娘おみつ:吉田勘彌/手代小助:吉田文哉(17日まで)吉田蓑紫郎(18日から)/丁稚久松:吉田清五郎/親久作:吉田文司/下女およし:桐竹紋吉/娘お染:吉田一輔/駕籠屋:桐竹勘次郎/駕籠屋:吉田玉彦/母お勝:桐竹紋壽/船頭 桐竹紋秀

歌舞伎と展開は基本的に同じ。台詞も歌舞伎の台詞と相当一緒の模様。お光ちゃんが本物の大根を使うのも一緒。福助ほどに大量には切らないけど。髪を結う仕草がなんともいえず愛しげで可愛い。

お染を見つけたお光が視界を妨害する下りは派手だった。箒を使ったり、通せんぼしたり。こんなおぼこい娘が出家するという展開に説得力を持たせられるか、少々不安になった。 が、いざ見てみると、歌舞伎よりも納得できた。理由を考えたのだが、おそらくお染と久松の互いに気持ちを確認しあう場面に説得力があったからだと思う。あんなに惹かれあっている二人を見たら、自分が割り込む余地などない、とお光が思うのも致し方ない。綿帽子をかぶったお光はとても綺麗で、その分だけ悲しかった。

芳穂大夫さんのお光、手代小助がうまかった。老父久作はいまいち。逆に呂勢大夫さんは老父久作がうまかった。最後の津駒大夫さんがラストに向けドラマチックに盛り上げる。

野崎村は、最後の三味線と駕籠かきが楽しい。ココをきくために、野崎村を見ている気さえする。大満足でした。

ちょいメモ備忘録20150525-03

吉田玉女改め  二代目吉田玉男襲名披露 口上
文楽の口上ってどんなだろ、と興味しんしん。事前に並ぶ人の名前をプログラムで確認。吉田「玉」の一門が並んでいることに気づく。そして最前列には、三味線から鶴澤寛治さん、大夫から豊竹嶋大夫、竹本千歳大夫さん、人形遣いから、吉田和生さん、桐竹勘十郎さん、そして中央に吉田玉女改め吉田玉男さん。少しは文楽の人員構成が分かったかも。

千歳大夫さんの司会で進行。鶴澤寛治さんが、初代吉田玉男さんに、坊主頭だった二代目吉田玉男さんを指して「玉男さんの子?」と聞いたら、「近所の子」と答え、「いつまで続くやろ」と言ったとか。その坊主頭の男の子が今、初代の名を襲名しようとしている。まだ文楽の何たるかをまるで知らないのに、ちょっと感動してしまった。

最前列の方皆さん一言ずつ真面目なご挨拶。吉田和生さん、桐竹勘十郎さんは玉男さんと同時期入門なんだね。そして肝心の吉田玉女改め吉田玉男さんのご挨拶はない!それもいかにも文楽らしい。

ちょいメモ備忘録20150525-04

襲名披露狂言 「一谷嫰軍記」
熊谷桜の段 豊竹松香大夫、鶴澤清友
熊谷陣屋の段 切 豊竹咲大夫、鶴澤燕三、後 竹本文字久大夫、鶴澤清介
(人形役割)妻相模:吉田和生/堤軍次:吉田玉佳(17日まで)、吉田玉勢(18日から)/藤の局:桐竹勘十郎/梶原平次景高:吉田玉志(17日まで)、吉田幸助(18日から)/石屋弥陀六実は弥平兵衛宗清:吉田玉也/熊谷次郎直実:吉田玉女改め吉田玉男/源義経:吉田玉輝/百姓・奴・軍兵 大ぜい
望月太明藏社中

おこがましい言い方だが、吉田玉女改め吉田玉男さんが何年も何年も師匠の足、左を遣い芸道に精進し、師匠亡き後もさらに鍛錬を重ねた、その集積のような直実だった。立ち居振る舞いは武士らしく大きく、でも我が子を自分の手で殺めた悲しみを背負った悲しみが舞台全編を通してこれでもかと言わんばかりに伝わってくる直実だった。
ちょいメモ備忘録20150525-06

そして妻相模(吉田和生)、藤の局(桐竹勘十郎)との息がピッタリ。三人とも無駄な動きが一切なく、非常に洗練されている。交錯する直実、相模、藤の局の魂を見る思いだった。

「熊谷桜の段」の松香大夫さんの一人ひとりの語り分けが素晴らしく、さすが襲名披露と思わせる。「熊谷陣屋の段」、咲大夫さんの低音がとても良かった。そして、直実の慟哭そのものを表すかのような燕三さんの三味線。最後、清介さんの三味線に先導されるような文字久大夫さんの丁寧な語り。

ところで、熊谷陣屋の段、切で出演者の皆さんが舞台でスタンバイした瞬間に地震発生。しかし出演者の皆さんは動じない。清介さんが少し長めに三味線を弾き調整したみたい。そして特に相談をすることんなく、文字久大夫さんが余震のないことを判断し語りを開始。そのプロ根性を目の当たりにして動揺した観客も静寂を取り戻した。さすがです。

とても立派な襲名披露狂言でした。少しずつ文楽の楽しさが分かってきた。歌舞伎と連動して見るのが良さそう。

ちょいメモ備忘録20150525-05

23:17 文楽鑑賞 | コメント(0) | トラックバック(0)
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