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七月歌舞伎座「熊谷陣屋」「牡丹燈籠」

2015/07/27
歌舞伎座夜の部。海老蔵「熊谷陣屋」の初役と玉三郎の牡丹燈籠がお楽しみ。

一、一谷嫩軍記 熊谷陣屋
熊谷直実:海老蔵/白毫弥陀六:左團次/相模:芝雀堤軍次:九團次/亀井六郎:巳之助/片岡八郎:種之助/伊勢三郎:廣松/駿河次郎:梅丸/梶原平次景高:市蔵/藤の方:魁春/源義経:梅玉

吉右衛門先生が指導したとされる海老蔵の熊谷直実、初役。今後の期待がもてる良い直実でした。

プロの役者にこういう言葉を使うのは良くないと思うし、また、なぜか海老蔵に対してはこの言葉で評価しがちなのだが、海老蔵、「一生懸命」やってました。子を思う直実の心根を、全編を通して観客に伝えようとしているのがよく分かった。特に義経に首を差し出す場面。直実を演じるには、断腸の思いで子を身代りにする悲痛な思いや、直実が感じる無常感を表すことが何より重要だと思うが、それがしっかり感じられた。吉右衛門ほど馴染んではいないが、その分リアルさがあった。私的にそれだけで及第点だ。

舞台写真を事前にみて、直実の化粧があまり海老蔵に似合っていないと思ったが、どうしてどうして、立派な顔でした。制札の見得の絵になること!あのおっきい目が十分に生かされ、忠義と子への思いの間で苦しむ直実のハラが伝わる見得でした。頭を剃った僧侶姿も、出家した者の凄みと諦念が滲み出ていた。ヨーデル口跡も今回はそんなには気にならず。でも、これで口跡が良ければもっともっと素晴らしい直実になるのは確実。是非、父團十郎さんが住大夫さんに教わったように、義太夫の先生について一から習ってほしい。

ぼろくそ言うこともあるけど、やっぱり海老蔵は目が離せない。ときどきやらかしてくれる。

相模(芝雀)、一歩距離を置きつつしっかり息子を見守る厳しい母親像がよかった。義太夫に合わせた所作が、上から目線だがどんどん上手くなっている気がする。襲名は役者を変えていく。藤の方(魁春)さん、言うことなし。指の先から足の先まで全身が義太夫と連なっているようで素晴らしい。安定の白毫弥陀六(左團次)、運命に耐え必死に生き抜こうとする強さ。源義経(梅玉)、威厳と風格とともに、身分の高い者が併せもつ孤独感を表現。

吉右衛門先生、今月は菊之助に国立劇場の「義経千本桜」で碇知盛も指導したとのこと。菊之助の方が完成度は高いが海老蔵への期待値も高い。今後の歌舞伎界の明るい展望を感じさせる七月でした。

ちょいメモ備忘録20150726-01

二、通し狂言 怪談 牡丹燈籠 
第一幕 大川の船、高座、新三郎の家、伴蔵の住居、高座、伴蔵の住居、萩原家の裏手、新三郎の家
第二幕 高座、関口屋の店、笹屋二階座敷、元の関口屋夜更け
〈第一幕〉お峰:玉三郎/伴蔵:中車/お米:吉弥/お六:歌女之丞/萩原新三郎:九團次/山本志丈:市蔵/三遊亭円朝:猿之助 〈第二幕〉お峰:玉三郎/馬子久蔵:海老蔵/お国:春猿/定吉:弘太郎/お六:歌女之丞/三遊亭円朝:猿之助/伴蔵:中車

初見です。「牡丹燈籠」という演目名から身の毛もよだつ怪談話かと思いきや、幽霊はおかしみやお峰、伴蔵の夫婦の関係性を表現するために用いられているみたい。この玉三郎と中車の夫婦役、初めて見る組み合わせだけど、なかなか良いコンビでした。玉三郎(お峰)、ざっかけないけど、それなりに旦那様のことを大切にしつつ、日々の生活費をやりくりして内職に励む奥さん。伴蔵(中車)、ときどきボケたりもする愛嬌のある、小市民的に日々真面目に暮らす旦那。この二人が片寄せあって生きる様が垣間見れる第一幕。お金が入ってから羽目を外してしまった伴蔵を愛しく思うからこそ苦しむお峰の嘆きが切ない第二幕。自分自身の夫婦像と比べてみる部分もあったりして、一緒に泣き笑いできるお芝居でした。

花魁等綺麗どころのイメージの強い玉三郎だけど、年増の中年女性という役では独特の愛嬌と悲哀を醸し出し、それでいて可愛くもあり、チャーミング。あと、「伊勢音頭恋寝刃」の万野でも思ったが、うちわの扇ぎ方がいい。今回のお峰でもひと扇ぎする度に、うちわの扇から夫伴蔵への不満、嫉妬、愛情などの感情が放たれていくみたい。

中車はさすがの台詞回し。歌舞伎らしさも加わった歯切れの良い口跡。緊迫した台詞のやりとりでは、玉三郎をリードした側面もあったのでは。幽霊を怖がる所作は凝り性の中車らしい工夫もみせてくれて楽しめたし、何よりごく普通の小市民伴蔵という役どころで愛嬌をきっちり見せてくれたのが良かった。

お露(坂東玉朗)、10代・20代の頃の玉三郎はこんな感じだったのかと思わせる可憐さ。お米(吉弥)、両手の伸ばし方が幽霊そのもの。背筋を凍らせる台詞回し。萩原新三郎(九團次)、女に翻弄される二枚目を好演。馬子久蔵(海老蔵)、アイドルにお笑いの恰好をさせ恥ずかしがる様を楽しむバラエティ番組を思い出した。三遊亭円朝(猿之助)、一癖も二癖もありそうな咄家。話の内容が少しわかりづらかったが、噺家らしい姿勢や話し方を研究したことが見てとれる。お国(春猿)、この上なく色っぽい。

ラスト、お峰と伴蔵が再び片寄せあって仲睦まじく暮らす様を見たかったのに、お峰が死んじゃったのが悲しかった。それなのになぜか、あったかい気持ちになれました。

ちょいメモ備忘録20150726-02

17:53 鑑賞記録 | コメント(0) | トラックバック(0)
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