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九月文楽 「妹背山婦女庭訓」

2015/09/09
国立劇場九月文楽。昼の部と夜の部どちらに行くか迷ったが、「伊勢音頭恋寝刃」は首がバッタバッタと切られて楽しそうだし、夜の部の「妹背山婦女庭訓」の通し狂言も見てみたいし、悩んだ挙句両方行くことにした(笑)。
ちょいメモ備忘録201500908-02

とても楽しかった!「妹背山婦女庭訓」はこの四月に平成中村座で初めてみたが、やはり通しで見るとストーリーが良く分かって面白い。何より人形がとてもきれい!三人の主要人物、橘姫、求女(藤原淡海)、お三輪がみんなキラキラしている。

特にそれを実感したのが「道行恋苧環」。橘姫(吉田和生)、求女(吉田玉男)、お三輪(桐竹勘十郎)、お三方揃踏み。義太夫は橘姫(豊竹呂勢大夫)、求女(豊竹芳穂大夫)、お三輪(豊竹靖大夫)。三味線は鶴澤清治、鶴沢清志郎さんほか。

歌舞伎では踊り音痴の私はしょっちゅう睡魔と戦うことになるのだけれど、この文楽の道行では眠くなるどころか、夢中になって見た。五人の義太夫、五人の三味線が大迫力。求女は気品あふれる二枚目、でも優柔不断の二股男。染五郎と錦之助をたして2で割った感じ。橘姫は優雅なお姫様、でもとっても健気。芝雀さんみたい。橘姫が求女への思い入れたっぷりに舞い、それに翻弄される求女。そこに現れる桐竹勘十郎のお三輪ちゃん。娘らしさは菊之助、嫉妬深さは七之助、それに玉三郎の華やかさを合わせ持つ。求女のために一生懸命な姿がいじらしくて可愛くてたまんない。勘十郎さんすごい。道行だけもう一回見たい。

「井戸替えの段」、酒盛りの場面が超楽しい。みんなで歌って踊ってどんちゃん。足を開いて、柏原芳恵がやってた「ビタミンC」みたいなポーズをとったりして(←誰も分からん)。豊竹松香大夫さんのテンポ良い語り語り。

「杉酒屋の段」、豊竹咲甫大夫さんの若々しい語りが良かった。竹澤團七さんの腹に響く三味線がお気に入り。白の苧環、赤の苧環を足にひょいと掛けられた後、想い人を追っかけて行く場面展開が面白い。お三輪母(吉田文昇)さんがいかにも口うるさいオッカサン。

ちょいメモ備忘録201500908-01

「鱶七上使の段」、最初の豊竹咲寿大夫のちゃりがけみたいな語りが楽しい。高い声に合っている。鱶七は二世尾上松緑みたい。豪放磊落で槍に突き出されても動じない。文字久大夫の語りは鱶七の方が入鹿より似合う。入鹿はスケールのでかい悪玉なのに、おとなしめ。

「姫戻りの段」、さんざん優柔不断で翻弄したあげく、正体を知られたら橘姫を殺そうとして、あげくに入鹿の盗み取った宝剣を取り戻したら夫婦になろうとか、求女、ひどくない?そんな求女に従う橘姫、健気すぎる。

「金殿の段」、お三輪ちゃんがいじめられる段。いじめの場面は平成中村座で見ても気分良いものではなかったが、、文楽では歌舞伎ほど不快ではなかった。歌舞伎では立役が中心にいじめて笑いに昇華しているのだと思うが、文楽はそのまんま女によるいじめ。よりリアルなはずなのに不思議だ。人形だからリアルさが軽減されるのか。

いじめられた悔しさ、恥ずかしさ、橘姫への嫉妬から逆上したお三輪ちゃんの荒れ狂った様相がすごい。千歳大夫さん、感情の起伏がはっきりする場面が予想通りうまい。お三輪ちゃんの炎のような激情と一体となって盛り上がる、盛り上がる。千歳大夫さん、豊澤富助さんの繊細な三味線と良いコンビ。

「入鹿誅伐の段」、この段の入鹿(吉田玉輝、豊竹始大夫)はスケールが大きいいかにも悪の親玉。悪人だけどかっこいいぞ。鎌足(吉田文司、竹本津國大夫)、淡海(吉田玉男、竹本南都大夫)もみんなスケールが大きくて見応えあり。ラスト、入鹿の首が飛んで空中を舞いまくって、完。

ちょいメモ備忘録201500908-03

文楽、歌舞伎より常に完成度が高い気がする。その分歌舞伎の方が心配させられたりとか別の愛着もわくのでどちらが良いというのではないけれど。夜の部、楽しかったです。

11:57 文楽鑑賞 | コメント(0) | トラックバック(0)
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