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九月秀山祭大歌舞伎 通し狂言 「伽羅先代萩」

2015/09/28
九月歌舞伎座、夜の部千穐楽。「先代萩」の通し狂言です。昨年藤十郎さんの国立劇場座頭公演で同じ演目を見たばかり。まだ記憶に新しく、いろいろ比較してしまう。

ちょいメモ備忘録201500926-01

通し狂言 伽羅先代萩(めいぼくせんだいはぎ)
花水橋/竹の間/御殿/床下/対決/刃傷

ちょいメモ備忘録201500926-02

〈花水橋〉  
足利頼兼:梅玉/絹川谷蔵:又五郎

足利頼兼(梅玉)、かっこいい。梅玉さん、柔らかで、しなやかで、気品と色気を兼ね備えた二枚目。梅玉さんの頼兼は国立でもみたけど、今回もよかった。絹川谷蔵(又五郎)に危険だから唄を唄わないよう注意され従うところが素直で可愛い。それでいて、ちょっとの事では動じない。谷蔵が斬るのを躊躇すると、「斬ってしまえ」と余裕しゃくしゃく。

絹川谷蔵(又五郎)、迫力ある立ち回りで、きっちりした荒事をしっかり見せてくれる。又五郎さん、お相撲さん役が似合いすぎでしょう。

ちょいメモ備忘録201500926-03

〈竹の間〉       
乳人政岡:玉三郎/沖の井:菊之助/鳶の嘉藤太:吉之助/小槙:児太郎/八汐:歌六

乳人政岡の玉三郎さん、登場です。でもこの場は他の女性陣が印象に残った。

沖の井(菊之助)。国立の孝太郎の沖の井は理知的で、ともすれば相手の裏をかく一面がありそう。これに対して菊之助の沖の井は、同じく理知的なんだけど、遠山の金さんのように公明正大。正義感に溢れていて、この人に嘘やごまかしは通用しない。孝太郎の沖の井の方が、八汐のコミカルな面は際立つ。これは好みの問題かな。どっちもイイ。嘉藤太の腹に一発かませる沖の井、かっこよすぎ。

八汐(歌六)、これぞ八汐。見る前から良いのは分かっていたんだけど、やっぱり良かった。八汐は怖いキャラというイメージがあるのだが、歌六さんの八汐は怖くない。でも、政岡(玉三郎)、沖の井(菊之助)と 対峙する程度に大物感がある。他方、主君とはいえ、まだ子供の鶴千代に媚を売り、やり込められてしまう小物感もある。そのへんのキャラが良い塩梅。小槙(児太郎)、医者の妻設定だが、医者並みに医事に通じてそう。児太郎、こういう雰囲気も出せるのだ。見るたびに新しい一面を見せてくれて驚かされる。鳶の嘉藤太(吉之助)、女性陣の問い詰めに応じるときの口跡は、これぞ歌舞伎の口跡。聞き惚れた。あと、子役さんが素晴らしかった。鶴千代君、本当に将来立派な君主になるだろうと思ったもの。大物。八汐がやり込められる場面、すごい説得力。

「竹の間」は嘉藤太と鶴千代千松」以外女性ばかり。一人一人の着物が豪華絢爛。

〈御殿〉     
乳人政岡:玉三郎/沖の井:菊之助/小槙:児太郎/栄御前:吉弥/八汐:歌六

ちょいメモ備忘録201500926-04

玉三郎の政岡は、藤十郎みたいに母性全開の政岡とは違う。母親というより一人の女性。だけど、孤独と戦う女戦士。普通の女性が乳母の役割を全うする哀れさを感じた。

「まま炊き」の場面はたぶん初見。今回見るまでは、千松が身代りになることを唐突に感じたが、常日頃鶴千代の身代りになるよう言い聞かせられていることが分かり、納得できた。子供らにごはんの準備をしてやる政岡、その間ずっとお腹を空かせている子供たちの様子が結構長く続く。動きもあまりなく浄瑠璃の語りを聴き続ける場面。でも退屈しなかった。政岡が我が子千松を愛しく思っていること、その千松に毒見をさせ危険にさらす闘いの日々を送っていること、それでも子供と二人といる日常は、それなりに安堵する日々であることが分かり、その日常を愛しく感じた。そして義太夫をいつまでも聴いていたかった。

身代りになり菓子を食べ、八汐に斬られた千松の「あー、あー」という高い声が耳から離れない。その後、政岡以外全員がいなくなるまで広い舞台中央に放置される。すぐにでも政岡は駆け寄り抱いてやりたいだろうに、栄御前を意識してか、それもできない。氷の鎧を身にまとい、必死で自分を抑える母の辛さ。

栄御前(吉弥)、八汐よりよっぽど悪辣。扇子で我が子を切り殺される政岡の様子をチラ見する様子が、冷徹で怖かった。

「御殿」、玉三郎さんが、とても丁寧に乳母としての運命に翻弄される母を演じており、良かった。時代物の女性という感じではない。でも、普通の女性として共感できる政岡だった。

〈床下〉         
仁木弾正:吉右衛門/荒獅子男之助:松緑

ちょいメモ備忘録201500926-05

お待ちかね、仁木弾正(吉右衛門)。悪役の威厳十二分、そして妖術使いらしいおどろおどろしさもあり。そして、ちゃんと雲の上をふわふわ歩いているように見えた!3階席だから途中で見切れたけど、その後花道正面にでっかい仁木弾正の影がゆうらりと映り、ふわふわ。照明の効果がすごい。

荒獅子男之助(松緑)、表情もお化粧もすごい迫力。松緑は派手な隈取が似合うなあ。台詞も短いけど、怒気に満ちている。バッチリでした。

〈対決・刃傷〉  
仁木弾正:吉右衛門/細川勝元::染五郎/渡辺民部:歌昇/山中鹿之介:種之助/大江鬼貫:由次郎/山名宗全:友右衛門/渡辺外記左衛門:歌六

「対決」 ―今一つだった。

仁木弾正(吉右衛門)がずっと低い声なのだが、抑揚がなくどうにも盛り上がらない。悪役感を出すためだと思うのだが、あまり功を奏していない。低音が苦手なのか。貫録はあったけど。国立でみた橋之助の仁木弾正からは、ものすごい色気を感じ、ハンコ(印形というらしい)を押す目線にドギマギしたのだが、その場面も普通に終わった。吉右衛門はこういう悪役の雰囲気作りは苦手で、忠義に厚いお侍とか、親孝行の息子とか、人の好い爺さんとかの方が、向いているのかもしれない。もしくは橋之助のイメージが強いだけで、こういう仁木弾正もありなのかもしれない。が、とにかく今一つしっくりこなかった。

さて、対決相手は細川勝元(染五郎)なのだが、仁木弾正の低い声に対立するかのように、花道から何を言っているか聞き取れないくらいの甲高い声で登場したとき、嫌な予感がした。梅玉さんの国立での勝元のイメージに引きずられているのかもしれないが、悪い仁木を理路整然とやり込める勝元には、それなりの重厚さを求めてしまう。しかし、染五郎の勝元はまるで正反対、重みゼロ。まだ20代後半、地方に派遣された成績トップ官僚みたいだ。

この仁木弾正と細川勝元、ある意味バランスが取れていると言えなくもないのだが、なんかイメージと違うのだね。

山名宗全(友右衛門)、権力におもねる裁き人。ちょうどよい塩梅に軽く、役に合っていた。

「刃傷」 -にんじょう、と読むことを今知った。

渡辺外記左衛門(歌六)、さっきまで悪役八汐だったのに、今度は人の好い爺さん役。でも全く違和感なく溶け込むところがさすが。息子たちに助けられ仁木を必死で討つとき応援したくなってしまう。

そして討たれる仁木弾正(吉右衛門)、この場面は良かった!なんなんだ。十分貫禄ある悪の中の悪、仁木弾正に見えた。立ち回り、片足で立つときちょっとドキドキしたけど、それも含めて吉右衛門らしい仁木弾正だった。

ちょいメモ備忘録201500926-06

通し狂言「伽羅先代萩」、とても良かった。「対決」の染五郎と吉右衛門以外は適材適所、完璧な配役。吉右衛門も「刃傷」と「床下」は良かったし。千穐楽は大向こうも盛り上がり楽しい。そして何よりも玉三郎さんの熱演に大拍手です。

08:31 鑑賞記録 | コメント(0) | トラックバック(0)
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