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十一月歌舞伎座「実盛物語」「若き日の信長」「御所五郎蔵」

2015/11/23
吉例顔見世大歌舞伎、昼の部へ。ちょっと寝不足気味で嫌な予感が・・・。

ちょいメモ備忘録20151121-01

一、源平布引滝 実盛物語
斎藤実盛:染五郎/瀬尾十郎:亀鶴/郎党:廣太郎/郎党:廣松/九郎助:松之助/葵御前:児太郎/小万:秀太郎

昨年六月に菊五郎さんの実盛を見て感激し一応期待していたのだが、どうしても染五郎が実盛に見えなくて。菊五郎さんに引きずられすぎか。実盛って、小万を殺したと聞かされショックを受けたお父さん九郎助(松之助)が実盛にやり返そうとするも、実盛をみて出した手を引っ込めたり、小万の息子太郎吉に「大きくなったら討たれてやろう」とか言ったりする人間の大きさみたいなものが感じられるキャラだと思っていたのだが、どうしても染五郎が二十代で高級官僚に抜擢された成績だけは良い小役人に見えてしまって。ただ、本来の実盛の年齢からいえばちょうど染五郎くらいだろうし、リアル実盛ってことでこれでいいのだろうか。うーん、でもあの口跡がねえ・・・実盛が物語りをする口跡としてはあまりにも軽くて、ラスト、全員でラップみたいに物語るときも実盛だけ浮いていて。結局欲求不満が残ってしまった。

瀬尾十郎(亀鶴)、良かった。悪役は初めてみたけど、型?みたいなのができていて、口跡も含めおさまっていて感心した。憎々しさみたいなのはやや薄かったけど、実はイイ人だからこれでいいのかも。亀鶴、先月の国立劇場に引き続き今月も大活躍で期待大。葵御前(児太郎)、最初庶民的な衣装で登場したときは、気品はあれど木曽義賢の奥方と見まごうほどの高貴さは感じず。でもゴージャス衣装に変えてからは、風格もでた。九郎助(松之助)、庶民的な優しいお父さん。

そして小万(秀太郎)、正直配役を見て目を疑った。私の中で小万ちゃんは壱太郎のイメージだったもので。でもさすが秀太郎さん、息を吹き返した瞬間みずみずしい若さがしっかり感じられた。ほとんど横になってのお芝居だったのにすごい。ちょっとの動きで最大の効果。

ちょいメモ備忘録20151121-03

染五郎、要するに実盛のニンじゃないのかも。でも弁慶はニンでなくても見応えあったのだけど。

二、大佛次郎 作 守屋多々志 美術監修 若き日の信長
織田上総之介信長:海老蔵/弥生:孝太郎/五郎右衛門:亀寿/監物:九團次/甚左衛門:廣松/林美作守:市蔵/僧覚円:右之助/木下藤吉郎:松緑/平手中務政秀:左團次

十一世市川團十郎を偲ぶ作品です。
ちょいメモ備忘録20151121-02

信長といえば、傍若無人なふるまいをする、うつけ者・・・海老蔵、「地」でいけてないか?イメージ通りの信長で、すごくはまっていた。無造作な髪も野性的できれいだったし、自害した平手中務政秀(左團次)を偲んで酒を飲むときのカッとつり上がった怒りの目は大迫力。新聞には「リアルな迫力」とあったが、まさにその通り。でも、この先ずっとこの信長をやるわけにはいかないはず。本能寺の変で討たれる悲哀みたいなものを出していけるようになることを期待。

ちょいメモ備忘録20151121-04

平手中務政秀(左團次)、安定の忠誠心に厚いお父さん。海老蔵のうつけ者との良い対比になって芝居を盛り上げる。平手中務政秀の息子三兄弟、五郎右衛門(亀寿)・監物(九團次)・甚左衛門(廣松)。長男亀寿、次男九團次は年長らしい生真面目な役柄で、父を思うがゆえ信長に対する怒りを静かにためこむ。末っ子役廣松がずっと感情を盛り上げて号泣するまで大変そうだった。

木下藤吉郎(松緑)、似合っていた。気が利く信長の子分という役が良く似合い、信長に気に入られるのも分かる。松緑、実は子分肌なのか?林美作守(市蔵)安定のいけすかない役。弥生(孝太郎)、こういう健気な役は孝太郎には合っていないような。

ラスト、海老蔵の「人間五十年~」の舞いは体操のお兄さんみたいだった。踊りでもうちょっと見せてくれれば尚よろし。

三、河竹黙阿弥 作 曽我綉俠御所染 御所五郎蔵
御所五郎蔵:菊五郎/星影土右衛門:左團次/傾城逢州:孝太郎/梶原平蔵:松江/新貝荒蔵:亀寿/秩父重介:廣太郎/二宮太郎次:宗之助/花形屋吾助:橘太郎/傾城皐月:魁春/甲屋与五郎:仁左衛門

今月の芝居で一番期待していたのがコレです。

五郎蔵(菊五郎)と土右衛門(左團次)が登場、黙阿弥の七五調の台詞が聞こえてきたとたん、あぁ歌舞伎座に来てよかったなと思わせられる。昼の部のここまでのお芝居とは格が違う、レベルが違う。毎月毎月歌舞伎座に通って、ときどき消化試合みたいに感じることもあるのだけれど、本当はこういう大歌舞伎に巡り合いたくて私は歌舞伎座に通っているのだなと思う。いや、花形の成長を見るのも楽しいのだけれど、それもいつか大歌舞伎に進化するのを待つ楽しさだったりするし。菊五郎さんの「晦日に月の出る郭も、闇があるから覚えていろ!」ーかっこよかったなあ。

ちょいメモ備忘録20151121-05

傾城皐月(魁春)、愛想尽かしをするとき、消えそうになりながら体を震わせているのがすごく切なかった。傾城逢州(孝太郎)、機転の利く傾城で、孝太郎にこういう理知的な役は似合う。五郎蔵に殺されてしまう場面も美しかった。甲屋与五郎(仁左衛門)、ごちそうっぽい。この与五郎なら五郎蔵と土右衛門の喧嘩を止められるだろう。

菊五郎さんの熱く一本気で、悪く言えば単細胞の五郎蔵がはまってました。ただ黙阿弥のセリフ、ずっと聞いていると眠くなるのがたまにキズ。

ちょいメモ備忘録20151121-03

昼の部、舞踊がないのがちょっと残念だった。

08:22 鑑賞記録 | コメント(0) | トラックバック(0)
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